アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(23)ラーム[ ل ]

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(23) ラーム [ ل ]

لاَمٌ の発音

・有声・歯茎・側面音(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・有声・歯茎・側面接近音(東京外国語大学 言語モジュール)

ل 文字名 音価 IPA 月/太陽
لاَمٌ lām
ラーム
l l 太陽

アルファベット名の発音
・[ lām ] [ ラーム ](語末を省略する普通の読み方)
・[ lāmun
] [ ラームン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

男声:プロのナレーターさんによる収録

女声:Amazon TTS Zeina

英語の l に似ており舌の先がつく場所などの基本はだいたい同じです。上の前歯裏側生え際から少し上がった歯茎のところに舌の先端に近い部分を当てたまま息を通すと、息が舌の左右に逃げていき口の外へと出ていきます。

英語を勉強する時と同じく ر [ r ] と混同しないように注意が必要です。

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
لَ لِ لُ
la [ ラ ] li [ リ ] lu [ ル ]

母音a、i、uを足すと、la、li、luとなります。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。ل [ l ] の具体的な説明が始まるところから再生が始まるように設定してあります。

1:08~

ل [ l ] は舌を使って発音する子音で、上の前歯裏側生え際から少し上がった歯茎のところに舌の先端一帯を当てます。口の中のイラストで黄色く塗られている部分が発音の際にお互いを触れ合わせる場所を示しています。

1:54~

舌の先が上前歯裏を上方の歯茎に当たっている状態で息を送り込んでいる様子です。舌の先付近(=黄色いエリア)はふさがれているので息(=白い矢印)はその左右に逃げていき(=黒い矢印)、左右に分かれたまま口の外へと出ます。

2:33~

軽い ل [ l ] と重たい ل [ l ] の話題に移っていきます。

  • اَللَّام الْمُرَقَّقَة
    [ ’al-lāmu-l-muraqqaqa(h) ] [ アッ=ラーム・ル=ムラッカカ ]
    普通のラーム、軽い方のラーム。受動分詞 مُرَقَّق [ muraqqaq ] [ ムラッカク ] の普通の意味は「薄くされた」ですが、ここでは強勢化・強調音化されていないことを示しています。
  • اَللَّام الْمُفَخَّمَة
    [ ’al-lāmu-l-mufakhkhama(h) ] [ アッ=ラーム・ル=ムファッハマ ]
    重いラーム、強勢化・強調音化したラーム。受動分詞 مُفَخَّم [ mufakhkham ] [ ムファッハム ] の普通の意味は「敬意を受けた/受けるべき」「もったいぶった、仰々しい」などですがここでは強勢化・強調音化されていることを示しています。

動画では右に強調音化された重い ل [ l ]、左に強調音化されていない普通の軽い ل [ l ] が配置されています。

2つは舌の先付近を当てる場所は同じものの舌の形状が異なります。重い ل [ l ] では舌の中央付近がくぼみ、舌の根元が盛り上がり لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が少し後方へと倒れる(=紺色の四角で囲った部分)ことで喉の入り口が狭くなっています。

ちなみにこの重いラームと軽いラームの併存は預言者ムハンマドの時代に既にあった発音だそうです。

同様の内容のレクチャーです。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。

軽い ل と重たい ل

タフヒームとタルキーク

同じ ل [ l ] でも ص ض ط ظ と同様に強勢化・強調音化して重たく発音されることがあります。

クルアーン朗誦学 اَلتَّجْوِيد [ ’at-tajwīd ] [ アッ=タジュウィード ](タジュウィード)ではある特定の子音に関して強調して発音すること・強調音化することを تَفْخِيم [ tafkhīm ] [ タフヒーム ] と言います。その逆、軽く普通に発音することを تَرْقِيق [ tarqīq ] [ タルキーク ] と言います。

上の動画レクチャーメモでも出てきましたが、

  • اَللَّام الْمُرَقَّقَة
    [ ’al-lāmu-l-muraqqaqa(h) ] [ アッ=ラーム・ル=ムラッカカ ]
    軽いラーム、تَرْقِيق [ tarqīq ] [ タルキーク ] で発音するラーム。舌の根元付近を盛り上げる強勢化・強調音化の動作を行わず、ごく普通の子音として発音するラーム。
  • اَللَّام الْمُفَخَّمَة
    [ ’al-lāmu-l-mufakhkhama(h) ] [ アッ=ラーム・ル=ムファッハマ ]
    重いラーム、強勢化・強調音化したラーム、تَفْخِيم [ tafkhīm ] [ タフヒーム ] で発音するラーム。舌の根元付近が盛り上がって、喉を力んで狭くして発音するラーム。

タフヒームが起きた重い音は、上の動画にもあるように舌の場所は同じながら、舌の付け根を盛り上げ、喉を力ませる感じで狭くして発音します。

الله の発音ルール

通常アラビア語学習でタジュウィード規則に触れることは無いのですが、الله  [ ’allāh ] [ アッラーフ ](アッラー)という語ー اِسْم الْجَلَالَةِ [ ’ismu-l-jalāla(h) ] [ イスム・ル=ジャラーラ ] / لَفْظ الْجَلَالَة [ lafẓu-l-jalāla(h) ] [ ラフズ・ル=ジャラーラ ] ーの発音だけは登場することがあります。

الله [ ’allāh ] [ アッラーフ ] の ل [ l ] の音は、他の普通の [ l ] と違って、軽く発音する時と、重く発音する時とに分かれます。

الله の前の音がファトハ(a)の時 → 重たい ل

تَاللهِ
[ ta-llāhi ] [ タッラーヒ ]
→ 重たく、タッロォアーヒのように発音
神に誓って

الله の前の音がダンマ(u)の時 → 重たい ل

يَعْلَمُ اللهُ
[ ya‘lamu-llāhu ] [ ヤアラム=ッラーフ ]
→ 重たく、ヤアラムッロォアーフのように発音
アッラーはご存知であられる

الله の前の音がカスラ(i)の時 → 軽い ل

بِسْمِ اللهِ
[ bismi-llāhi ] [ ビスミ・ッラーヒ ]
神の名において