アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(19)ガイン[ غ ]

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(19) ガイン [ غ ]

غَيْنٌ の発音

・有声・軟口蓋・摩擦音 /ɣ/(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・有声・口蓋垂・摩擦音 /ʁ/(東京外国語大学 言語モジュール)

*欧米や日本の学習書では軟口蓋摩擦音と書かれているものと口蓋垂摩擦音と書かれているものとに分かれます。

غ 文字名 音価 IPA 月/太陽
غَيْنٌ ghayn
ガイン
gh ɣ

アルファベット名の発音
・[ ghayn / ghain ] [ ガイン ](語末を省略する普通の読み方)
・[ ghaynun / ghainun
] [ ガイヌン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

*転写のルール上 [ ghayn ] となっていますが、二重母音なので [ ghain ] を併記しました。
*エジプトでは二重母音部分 ay/ai が eiというよりは ē に変わる口語的な発音となりアルファベットの歌などでも「ゲーン」に近い読みになります。

男声1:プロのナレーターさんによる収録

男声2:Microsoft Azure Text to Speech Hedi

女声1:Amazon TTS Zeina

女声2:Microsoft Azure Text to Speech Rana

英語の get や go の g とは違い*、口の奥をこすり合わせながら出します。舌の根元をのどひこ(のどち◯こ)の上の柔らかい部分(軟口蓋)すれすれに近づけ、そのわずかなすき間に息を通すことで摩擦が生じてかすれた音を作ることができます。

*日本語のガ・ギ・グ・ゲ・ゴや英語の「g」とは違うのですが、英語圏などの人には発音がしづらいこと、「gh」だと「グハ」のように「g」と「h」の2文字扱いされてしまって誤読される可能性が高いことなどから、本来「Ghazi」と当て字をするような人名でもラテン文字表記(英字表記)で「Gazi」に置き換わっていることも少なくありません。

日本の学習書ではいびきの音・うがいの音と説明されていることが多いです。(うがいでガラガラする時のくっつきそうでくっつかない口の奥の距離感をイメージさせるための説明なので、全く同じガラゴロゴロという音を出すという訳ではありません。)

なお上のサンプルでは男声1のプロナレーターさんはかなりはっきりこすれる音を出している感じです。(かすれ具合に個人差が出やすい字なのでサンプル音声を多めに掲載してみました。クルアーン朗誦における厳密な発音については動画レッスンのところで確認願います。)

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
غَ غِ غُ
gha [ ガ ] ghi [ ギ ] ghu [ グ ]

母音a、i、uを足すと、gha、ghi、ghuとなります。

口の奥・喉の入口近くをこすり合わせながらなので、グァ、グィ、グゥもしくはゴァ、ゴィ、ゴゥのような感じで発音します。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。الْحَلْق [ ’al-ḥalq ] [ アル=ハルク ](喉)から出す子音をひとまとめにした動画なので、غ [ gh ] 部分から再生が開始するように設定してあります。

غ [ gh ] は خ [ kh ] と場所が近く、舌の奥(舌の根元部分)を اَلْحَنَك اللَّحْمِيّ [ ’al-ḥanaku-l-laḥmī(y) ] [ アル=ハナク・ッ=ラフミー/ラハミー ](軟口蓋)(のどひこ/のどち◯この上の柔らかい部分)に接近させ摩擦を起こして発音します。舌の奥の付け根を軟口蓋に接近はさせますがぴったりくっついて息の通り道を防ぐのではなく、少し隙間ができる形になります。

خ [ kh ] は6:21で白丸○が図示している部分で調音。黒丸●が غ [ gh ] で、舌を近づける位置が خ [ kh ] よりも少し下になります。خ [ kh ] では舌の根元部分を軟口蓋(のどひこ/のどち◯こ上の柔らかい場所)に接近させて息の通り道を狭くします。一方 غ [ gh ] は口蓋垂(のどひこ/のどち◯こ)に近接した خ [ kh ] よりも奥・下方で発声します。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。