アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(06)ハー[ ح ]

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(06) ハー [ ح ]

حَاءٌ の発音

・無声・咽頭・摩擦音(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・無声・咽頭・摩擦音(東京外国語大学 言語モジュール)

ح 文字名 音価 IPA 月/太陽
حَاءٌ ḥā’
ハー
ħ

アルファベット名の発音
・[ ḥā’ ] [ ハー(ゥ/ッ) ](語末を省略する普通の読み方)
・[ ḥā’un ] [ ハーウン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

男声1:プロのナレーターさんによる収録

男声2:Microsoft Azure Text to Speech Bassel

女声1:Amazon TTS Zeina

女声2:Microsoft Azure Text to Speech Rana

英語のhと異なる、もっとこすれた感じの子音です。舌を奥に引っ込めながら喉に力を入れ、口の奥にあるのどひこ(のどち◯こ)の少し先あたり、つまりは喉の入口付近(咽頭の上エリア)の空気が通る道を狭くした上でハッと発音します。

日本語の「ハ」と同じ場所から出す ه [ h ] が声帯のある声門を少し狭くして出す以外は舌を激しく盛り上げたり口の中を強く力んだりしないのに対し、こちらの ح [ ḥ ] は首の途中ののどぼとけのある付近ではなく、頭と首の境目あたりのラインの内部にある喉の経路付近にぐっと力を入れつつ舌の付け根近辺を奥に引く感じで発声します。

寒い日にかじかんだ手を温めるため出す時の息のような音をイメージして出すと、狭くすべき部分が狭くならずに声門の方からの発声になってむしろ ه [ h ] に近くなるので要注意です。

またネットには「口角を左右に広げる」(=口をイーッとする)と説明している書き込みも見られますが、誤りです。それだと音の出る場所が違うこと、また ح [ ḥ ] は唇の動作も加えて調音する子音だとは定義されていないので、調音部位の誤りかつ余剰な行為となり正しい発音ができなくなる原因となってしまいます。

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
حَ حِ حُ
ḥa [ ハ ] ḥi [ ヒ ] ḥu [ フ ]

母音a、i、uを足すと、ḥa、ḥi、ḥuとなります。

ただのハ、ヒ、フではなく喉の上エリア(のどぼとけの上側周辺)を力みながらッハァ、ッヒィ、ッフゥと力強く発音します。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。

喉の一番奥 أَقْصَى الْحَلْقِ [ ’aqṣa-l-ḥalq ] [ アクサ・ル=ハルク ](喉の最奥)にある声帯部分から出す音である ء [ ’ ] と ه [ h ]、そして وَسَطُ الْحَلْقِ [ wasaṭu-l-ḥalq ] [ ワサトゥ・ル=ハルク ](喉の真ん中)エリアから出す音である ع [ ‘ ] と ح [ ḥ ] をセットで紹介していますが、ここでは ح [ ḥ ] から再生するように開始位置を調整してあります。

ح [ ḥ ] では舌が少し後方に向かって動き、لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が後ろにやや倒れることで息の通り道が狭まり、喉からハッ・ハッという音が出るようになります。ع [ ‘ ] の方が力む度合いが強く、発音するのは ح [ ḥ ] の方が楽に感じられます。

7:46以降の2つのイラストを並べているところでは ح [ ḥ ] が左で ع [ ‘ ] が右です。 ح [ ḥ ] の方が喉に空間があって لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が後ろに倒れる度合いが少なく、アインの方が舌が奥に行って喉も狭くなる、という違いを図示したものです。

同様の内容のレクチャーです。複数の子音についての説明が入っている動画なので、ح [ ḥ ] 部分から再生が開始するように設定してあります。

3:48で黒く囲まれているのが、発音する際に後ろに倒れて喉を狭くする働きをする لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)です。舌の根元付近と同時に咽頭蓋が後退して喉における息の通り道が狭くなっているのがわかります。

4:25以降の2つのイラストを並べているところでは ح [ ḥ ] が左で ع [ ‘ ] が右です。 ح [ ḥ ] の方が喉に空間があって لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が後ろに倒れる度合いが少なく、アインの方が舌が奥に行って喉も狭くなる、という違いを図示。

同様の内容のレクチャーです。こちらも ح [ ḥ ] のところから再生が始まるように設定してあります。ع [ ‘ ]  ほど喉を狭くしていない様子をアニメで解説。

4:45の比較イラストは ح [ ḥ ] が左で ع [ ‘ ] が右です。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。