アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(08)ダール[ د ]

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(08) ダール [ د ]

دَالٌ の発音

・有声・歯茎・閉鎖音(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・有声・歯茎・破裂音(東京外国語大学 言語モジュール)

د 文字名 音価 IPA 月/太陽
دَالٌ dāl
ダール
d d 太陽

アルファベット名の発音
・[ dāl ] [ ダール ](語末を省略する普通の読み方)
・[ dālun ] [ ダールン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

男声:プロのナレーターさんによる収録

女声:Amazon TTS Zeina

英語のdと同じ音です。

舌の先を上歯茎の裏、前歯の生え際付近に当てます。舌によって一時的に息が閉じ込められて閉鎖が起こり、「タッ」と発音する時に再度パッと息が外に飛び出ます。

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
دَ دِ دُ
da [ ダ ] di [ ディ ] du [ ドゥ ]

母音a、i、uを足すと、da、di、duとなります。

日本語の感覚でダ、ジ(/ヂ)、ヅと読まないように注意します。正しい発音に近いのはダ・ディ・ドゥです。

ض(ダード)との関係

アラビア語特有と言われる子音ダード ض ですが現代ではこの [ d ] を単に重たくこもらせただけの強勢音 [ ḍ ] と説明されることが多いです。

しかしクルアーン朗誦法だともっと古い時代の発音で読み上げるため普通の語学のアラビア語として学ぶ場合とは違う発音をしています。そちらの調音方法では舌の先の押し当てる強度が違う上に舌の根元近くをを奥歯に押しつける動作もあり、アラビア語がダードの言語と呼ばれるゆえんとなっています。

口語での変化

口語では標準アラビア語の ذ [ dh ] がしばしばこのdに置き換わります。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。舌の先を置く場所が同じ ط [ ṭ ]、د [ d ]、ت [ t ] をまとめて解説しているので、ここでは د [ d ] と ت [ t ] の発音説明の位置に再生開始ポイントを合わせてあります。

د [ d ] は ط [ ṭ ]、ت [ t ] と同様に舌の先を上歯茎の裏、前歯の生え際付近に当てます。舌によって一時的に息が閉じ込められて閉鎖が起こり、「ダッ」と発音する時に再度パッと息が外に飛び出ます。

発音する場所が同じでも重たい音の ط [ ṭ ] は強勢化 ー تَفْخِيم [ tafkhīm ] [ タフヒーム ] ー を行うので、舌の根元付近が盛り上がって重々しい音に変わります。一方 د [ d ] と ت [ t ] は強勢化が起こらない普通の子音なので、舌の根元が盛り上がったり、舌の中央部分がくぼんだりということは起きません。

2:06ごろに出てくる比較イラストは、右側が ط [ ṭ ] で、左側が د [ d ] と ت [ t ](*舌の位置などは同じで有声か無声かの違い)になります。どちらも舌の先が当たっている場所は同じです。

そして違いは舌の根元が上に盛り上がっているか・いないか、舌の中央がくぼんでいるか・いないか、です。あと、四角で囲んであるように強勢化している ط [ ṭ ] では لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が動き喉が少し狭くなっています。

同様の内容のレクチャーです。冒頭は色々な場所の名前の説明です。

ط [ ṭ ] の発音は0:55から。舌の先の当たる部分がわかりやすく図示されています。舌の先端を上前歯裏の生え際付近歯茎部分(青い矢印の先)につけます。

1:36から د [ d ] と ت [ t ] の説明なので再生位置がここに来るよう設定してあります。青い矢印のように舌の先は一緒ですが、赤い矢印の通り舌のつけ根付近の盛り上がりが起きません。

1:55からの比較イラストは右側が重たい ط [ ṭ ] で、左側が強勢化が起こらない普通の子音 د [ d ] と ت [ t ] になります。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。