アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(12)スィーン[ س ]

目次 / ا ب ت ث ج ح خ د ذ ر ز س ش ص ض ط ظ ع غ ف ق ك ل م ن ه و ي / ء ة ى

(12) スィーン [ س ]

سِينٌ の発音

・無声・歯茎・摩擦音(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・無声・歯茎・摩擦音(東京外国語大学 言語モジュール)

س 文字名 音価 IPA 月/太陽
سِينٌ sīn
スィーン
s s 太陽

アルファベット名の発音
・[ sīn ] [ スィーン ](語末を省略する普通の読み方)
・[ sī
nun ] [ スィーヌン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

男声:プロのナレーターさんによる収録

女声:Amazon TTS Zeina

英語のsports、stock等におけるsと同じ音です。舌の先端を下前歯裏の歯茎に(*アラブのクルアーン朗誦レクチャーだと下前歯裏の最下部と書かれています)ついた状態で息を出し、喉から送られてきた空気が上・下前歯の隙間からピーッと漏れることで発音が行われます。

通常カタカナ表記ではサ・スィ・スと書かれますが、サ・シ・スとなっていることも。しかし後者の方式でsiをスィではなくシとカタカナ通りに覚えると、別のアルファベット ش [ sh ] の方のshi音になってしまうので注意が必要です。

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
سَ سِ سُ
sa [ サ ] si [ スィ ] su [ ス ]

男声1:プロのナレーターさんによる収録

男声2:Microsoft Azure Text to Speech Bassel

女声:Microsoft Azure Text to Speech Rana

母音a、i、uを足すと、sa、si、suとなります。サ・スィ・スと発音し、日本語のカタカナ表記につられてサ・シ・スで覚えないようにします。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。発音する場所が同じ ص [ ṣ ]、س [ s ]、ز [ z ] を一緒に解説しているので、ص [ ṣ ] の解説が終わった時点(4:49)から再生が開始するように設定してあります。

ص [ ṣ ] と س [ s ] と ز [ z ] は اَلصَّفِير [ ’aṣ-ṣafīr ] [ アッ=サフィール ](口笛のように歯の間からピューピュースースー息が漏れる子音のこと)と呼ばれ、舌の先端が下前歯最下部の裏付近についた状態で出します。舌が下前歯の裏にくっついていて、喉から送られてきた空気が上・下前歯の隙間からピーッと漏れることで発音が行われます。

3:31は一部学習書の誤ったイラストです。上前歯の裏に舌の先端を当てるイラストで解説している学習書もあるそうですが、それは間違いなのだとか。あくまで舌は下前歯の裏に当てるよう注意すべきとのこと。

5:31は発音する場所が同じ ص [ ṣ ](右側)と س [ s ] & ز [ z ](左側)の比較です。

強勢化が起こる ص [ ṣ ] と違って、س [ s ] と ز [ z ] では舌の根元が盛り上がったり、喉の入り口付近が狭くなったり、舌の中央部分がくぼんだりということは起きません。

右の ص [ ṣ ] では舌の根元が盛り上がり、喉の入り口付近が狭くなり、舌の中央がくぼんで強勢化が起こっている様子が示されています。また青い四角で囲んであるように لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が動き喉が少し狭くなっています。

同様の内容のレクチャーです。冒頭は色々な場所の名前の説明。ص [ ṣ ]、س [ s ]、ز [ z ] を一緒に解説しているので5:24から再生が開始するように設定してあります。

3:45の白黒イラストは誤った解説の一例で左が س [ s ]、真ん中が ص [ ṣ ]、右が ز [ z ]です。間違っているので画面右上にが❌出ています。

5:27の青矢印は舌の先が下前歯裏の最下部に当たっている様子を示しています。

5:33からは上の前歯の裏にぶつかった息が、舌の先端に当たりつつ上と下の前歯のすき間を通って外に出ていく様子がアニメーションで示されています。

6:05は発音する場所が同じで強勢化の有無が違う同士の比較で ص [ ṣ ] が右、س [ s ] と ز [ z ] が左です。青矢印が強勢化による舌の盛り上がりを示しています。

注意点を中心にイスラーム教徒向けに発音方法を解説しているレクチャーです。講師の出身地であるシリアの方言が少し混じったトークになっています。

いくつかの字をまとめて紹介しているので、発音する場所が同じ ص [ ṣ ](右の絵)、س [ s ] & ز [ z ](左の絵)のセットが出てくる場所(1:25)から再生が開始するように調整してあります。

ص [ ṣ ]、س [ s ]、ز [ z ] は اَلصَّفِير [ ’aṣ-ṣafīr ] [ アッ=サフィール ](口笛のように歯の間からピューピュースースー息が漏れる子音のこと)の3文字。舌の先を下前歯の最下部裏側に当てます。

3:50あたりで ص [ ṣ ]、س [ s ]、ز [ z ] は発音時に息が下前歯の上を越えて(=上下の前歯の間を抜けて)口の外に抜けることを説明。息が上前歯の裏部分にぶつかるという内容が誤って解釈され、舌の先を上の前歯の裏に当てるようイラストをつけて教えている誤った教材が昔出回っていたことに注意を促しています。

8:21からは ص [ ṣ ] の強勢化で唇を動かさないようにとの注意です。伝統的なクルアーン朗誦学の書籍には書かれていないにもかかわらず現代になってから各国でクルアーンを読む際にしばしば行われるようになっているもので、9:07で実演しているように上下の唇をすぼめて口を丸めるような動作はしてはいけないとのこと。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。

同様の学習動画です。