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(16) ター [ ط ]
طَاءٌ の発音
・無声・歯茎・閉鎖音・軟口蓋化(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・無声・歯茎・破裂・口蓋垂化音(東京外国語大学 言語モジュール)
*欧米や日本の学習書では強調音、強勢音や咽頭化、軟口蓋化、口蓋垂音など色々な表現がされています。
ط | 文字名 | 音価 | IPA | 月/太陽 | |
---|---|---|---|---|---|
طَاءٌ | ṭā’ ター |
ṭ | tˤ | 太陽 |
アルファベット名の発音
・[ ṭā’ ] [ ター(ゥ/ッ) ](語末を省略する普通の読み方)
・[ ṭā’ ] [ ターウン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)
男声:プロのナレーターさんによる収録
女声:Amazon TTS Zeina
音としては ت [ t ] を強調し重々しく発音したものになります。
英語の t とは違うので練習が必要になる子音です。強勢音、強調音、口蓋垂化音、咽頭化音などと呼ばれています。
舌の先は上前歯の根元付近の歯茎裏に当てるところは ت [ t ] と同じですが、ط [ ṭ ] では強勢化があるので舌の根元を奥に盛り上げる感じで引っ込め、喉の方は力を入れて狭くします。舌の中央はくぼみます。そうすると t が重々しくなった発音に変わります。
母音との組み合わせ
+母音a | +母音i | +母音u |
---|---|---|
طَ | طِ | طُ |
ṭa [ タ ] | ṭi [ ティ ] | ṭu [ トゥ ] |
母音a、i、uを足すと、ṭa、ṭi、ṭuとなります。
舌の奥を盛り上げて出す重々しい音なので、トァ、トィ、トゥに近い雰囲気を出しつつ発音します。
なおトゥをトォに近くするとそれっぽい発音になるのですが、強調音化しようとして唇を突き出して口をすぼめる不要な動作までしてしまわないよう要注意。アラビア語では重たくこもった発音にするために唇をすぼめる動作は標準的ではないため、クルアーン朗誦訓練等の際に直されることも。
子音tにa、i、uを足して「タ」・「ティ」・「トゥ」と発音します。
また日本語のカタカナ表記ではアラビア語の「ṭi(ティ)」をカタカナの「chi(チ)」、「ṭu(トゥ)」をカタカナの「tsu(ツ)」に置き換えてしまってつづられることが少なくないので要注意です。たとえばスーダン首都の名前は一般的・日常的な発音としては اَلْخَرْطُوم と書いて [ ’al-kharṭūm ] [ アル=ハルトゥーム ] となりますが、日本語のカタカナ表記ではハルツームになっておりアラビア語発音との間に誤差があります。
動画で発音の方法を確認
アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。舌の先を置く場所が同じ ط [ ṭ ]、د [ d ]、ت [ t ] をまとめて解説しているので、ここでは ط [ ṭ ] の発音説明の位置に再生開始ポイントを合わせてあります。
ط [ ṭ ] は舌の先を上歯茎の裏、前歯の生え際付近に当てます。舌によって一時的に息が閉じ込められて閉鎖が起こり、「タッ」と発音する時に再度パッと息が外に飛び出ます。強勢音なので、舌の根元付近が盛り上がって重々しい音に変わります。
発音する場所が同じでも重たい音の ط [ ṭ ] は強勢化 ー تَفْخِيم [ tafkhīm ] [ タフヒーム ] ー を行うので、舌の根元付近が盛り上がって重々しい音に変わります。一方 د [ d ] と ت [ t ] は強勢化が起こらない普通の子音なので、舌の根元が盛り上がったり、舌の中央部分がくぼんだりということは起きません。
2:06ごろに出てくる比較イラストは、右側が ط [ ṭ ] で、左側が د [ d ] と ت [ t ](*舌の位置などは同じで有声か無声かの違い)になります。どちらも舌の先が当たっている場所は同じです。
そして違いは舌の根元が上に盛り上がっているか・いないか、舌の中央がくぼんでいるか・いないか、です。あと、四角で囲んであるように強勢化している ط [ ṭ ] では لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が動き喉が少し狭くなっています。
同様の内容のレクチャーです。冒頭は色々な場所の名前の説明です。
ط [ ṭ ] の発音は0:55からなのでここから動画の再生が始まるように設定してあります。舌の先の当たる部分がわかりやすく図示されています。舌の先端を上前歯裏の生え際付近歯茎部分(青い矢印の先)につけます。
1:36から د [ d ] と ت [ t ] の説明なので再生位置がここに来るよう設定してあります。青い矢印のように舌の先は一緒ですが、赤い矢印の通り舌のつけ根付近の盛り上がりが起きません。
1:55からの比較イラストは右側が重たい ط [ ṭ ] で、左側が強勢化が起こらない普通の子音 د [ d ] と ت [ t ] になります。
同様の内容のレクチャーです。
こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。