アラビア語アルファベットの発音を覚えよう~(22)カーフ[ ك ]

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(22) カーフ [ ك ]

كَافٌ の発音

・無声・軟口蓋・閉鎖音(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・無声・軟口蓋・破裂音(東京外国語大学 言語モジュール)

ك 文字名 音価 IPA 月/太陽
كَافٌ kāf
カーフ
k k

アルファベット名の発音
・[ kāf ] [ カーフ ](語末を省略する普通の読み方)
・[ kāfun
 ] [ カーフン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)

男声:プロのナレーターさんによる収録

女声:Amazon TTS Zeina

日本語のカ行や英語の k と同じです。舌の奥を上あごの天井部分のど真ん中よりは少し奥寄りにくっつけて息の通り道を完全にふさぎ、直後にパッと開放して k の音を出します。

日本語で書かれた発音学習の解説だと「軟口蓋」(口蓋垂ー通称のどひこ、のどち◯こーの上にある柔らかい部分。舌や指で押すとふにゃふにゃしている箇所。)で調音すると書かれています。

一方、アラブ式の発音学習だと「軟口蓋」と「硬口蓋」(上あごの天井付近にあるあまりふにゃふにゃしていない硬めのエリア。)にまたがる位置に舌を当てるという解説になっています。

母音との組み合わせ

+母音a +母音i +母音u
كَ كِ كُ
ka [ カ ] ki [ キ ] ku [ ク ]

母音a、i、uを足すと、ka、ki、kuとなります。

日本のアラビア語教育現場ではアラビア語の [ ka ] を [ キャ ] と読む先生がまれにいらっしゃるようで「アラビア語の ك はほんの少しキャ風味な k で発音しましょう」と教えられ方をすることもあります。(自分がそうでした。)

しかし実際にはフスハーでキャに聞こえるほどの発音をしているアラブ人はまずおらず、キャに近くなるのは方言における母音 /a/ の /æ/ 化で純粋なカではなくキャが混ざったような感じになっている場合に当てはまるように思います。

文語として発音する場合、標準的な [ ka ] [ カ ] ではなく [ kya ] [ キャ ] に聞こえるような発音はやり過ぎになってしまうので個人的には避けることをおすすめします。

方言での変化

アラビア半島やイラクなどでは چ [ ch ] の音に置き換わることがあります。

イラク方言の場合は文字としては ك と書いてある部分を k と読まないケースが多く گ [ g ] で発音することが非常に多いです。gと発音する場合は英語の get、go と同じアラビア語の文語に無い [ g ] になります。文語では元々 ق [ q ] だった語根部分にあてられていることが多く、アラビア語に無い文字を借用して گ を使ったり、棒を書き足さない ك を使ったりと表記にバリエーションがいくつも存在するため慣れるのに少し時間がかかる感じです。

動画で発音の方法を確認

アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。発音場所が似ている ق [ q ] と ك [ k ] をまとめて解説。再生は ك [ k ] 部分から開始するように調整してあります。

0:56~【 ق の 発音 】

ق [ q ] は舌の一番奥(最奥)、根元付近をこんもりと盛り上げて اَلْحَنَك اللَّحْمِيّ [ ’al-ḥanaku-l-laḥmī(y) ] [ アル=ハナク・ッ=ラフミー/ラハミー ](軟口蓋)あたりにくっつけます。
*軟口蓋は口蓋垂(のどひこ、のどち◯こ)の上にある柔らかい部分。舌や指で押すとふにゃふにゃしている箇所。

1:16頃に出てくる黒い◯で囲った部分がくっつくエリア。のどひこ(のどち◯こ)からその上にかけての一帯に舌の最奥がぺったりとくっついているのが見えるかと思います。

1:19の青い矢印が اَلْحَنَك اللَّحْمِيّ [ ’al-ḥanaku-l-laḥmī(y) ] [ アル=ハナク・ッ=ラフミー/ラハミー ](軟口蓋)を示しています。

1:52~【 ك の 発音 】

一方、ك [ k ] は ق [ q ] よりも舌のもう少し真ん中寄りを使います。舌の奥の方を اَلْحَنَك اللَّحْمِيّ [ ’al-ḥanaku-l-laḥmī(y) ] [ アル=ハナク・ッ=ラフミー/ラハミー ](軟口蓋)から اَلْحَنَك الْعَظْمِيّ [ ’al-ḥanaku-l-‘aẓmī(y) ] [ アル=ハナク・ル=アズミー ](硬口蓋)にかけてのエリアに押し当て発音します。

2:14~【 ق と ك の比較 】

右が ق [ q ] 左が ك [ k ] です。ق [ q ] は口蓋垂~軟口蓋エリア、ك [ k ] はそれよりも口寄りで調音し軟口蓋~硬口蓋エリアで舌と接している様子を比べています。

同様の内容のレクチャーです。再生は ك [ k ] のところから始まります。

0:52からが ق [ q ] の発音で、1:43からが ك [ k ] の発音解説になります。舌を当てる位置が ك [ k ] の方が中央寄りなのが分かります。2:09からは比較画像で、右が ق [ q ] の発音、左が ك [ k ] の発音を示しています。

こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。