目次 / ا ب ت ث ج ح خ د ذ ر ز س ش ص ض ط ظ ع غ ف ق ك ل م ن ه و ي / ء ة ى
(17) ザー [ ظ ]
ظَاءٌ の発音
・有声・歯間・摩擦音・軟口蓋化(大阪大学 アラビア語独習コンテンツ)
・無声・歯茎・摩擦・口蓋垂化音(東京外国語大学 言語モジュール)
*欧米や日本の学習書では強調音、強勢音や咽頭化、軟口蓋化、口蓋垂音など色々な表現がされています。
ظ | 文字名 | 音価 | IPA | 月/太陽 | |
---|---|---|---|---|---|
ظَاءٌ | ẓā’ ザー |
ẓ | ðˤ | 太陽 |
アルファベット名の発音
・[ ẓā’ ] [ ザー(ゥ/ッ) ](語末を省略する普通の読み方)
・[ ẓā’ ] [ ザーウン ](格を示す語末母音も全部読んだ場合)
男声1:プロのナレーターさんによる収録
音声プレーヤー男声2:Microsoft Azure Text to Speech Bassel
音声プレーヤー女声:Amazon TTS Zeina
音声プレーヤー音としては ذ [ dh ] を強調し重々しく発音したものになります。
英語のtheやthisにおける [ dh ] とは違うので練習が必要になる子音です。強勢音、強調音、口蓋垂化音、咽頭化音などと呼ばれています。
舌の先端を上下の前歯ではさむところは ت [ t ] と同じですが、ظ [ ẓ ] では強勢化があるので舌の根元を奥に盛り上げる感じで引っ込め、喉の方は力を入れて狭くします。舌の中央はくぼみます。そうすると [ dh ] が重々しくなった発音に変わります。
この文字の発音に関しては文法書によって説明が異なり、舌を歯にはさむ ذ [ dh ] を重くした音だという解説と、はさまない ز [ z ] を重くした音だという解説が混在しています。実際のところ現代標準アラビア語では ذ [ dh ] を強調とするのが正解なのですが、学生時代はどちらなのかよくわからず困ったものでした…
なお、この字の音価の記号は [ ẓ ] ですが口語で ز [ z ] の強勢音になるため z の字が用いられているためで、フスハーにおける [ dh ] に似た発音との間にずれがあります。そのため表記上のzにひきずられて舌を歯ではさむのを忘れてしまわないよう注意が必要です。
母音との組み合わせ
+母音a | +母音i | +母音u |
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ظَ | ظِ | ظُ |
ẓa [ ザ ] | ẓi [ ズィ ] | ẓu [ ズ ] |
男声1:プロのナレーターさんによる収録
音声プレーヤー男声2:Microsoft Azure Text to Speech Bassel
音声プレーヤー母音a、i、uを足すと、ẓa、ẓi、ẓuとなります。(実際には上下の前歯に舌の先をはさむのでdha、dhi、dhuを重たくした音として読みます。)
舌を奥に引っ込めて出す重々しい音なので、ゾァ、ゾィ、ゾゥに近い雰囲気を出しつつ発音します。
なおズをズォに近くするとそれっぽい発音になるのですが、強調音化しようとして唇を突き出して口をすぼめる不要な動作までしてしまわないよう要注意。
口語での変化
エジプトやシリアなどの口語では通常 ز [ z ] を重くした音として発音されています。
ネイティブの人に発音を教えてもらう際「舌を歯にはさむ ذ [ dh ] を重くした音だ」と教えてくれる人と「舌を歯にはさまない ز [ z ] を重くした音だ」と教えてくれる人に分かれるのはそのためです。
日本人学習者はあまり縁の無い混同ですが、アラブの諸方言では ظ と ض の入れ替わりが多いため混同されがちでظروف(状況)を ضروف と書く人も少なくありません。普段の日常生活ではそのように発音して暮らしているためクルアーン朗誦時にはうっかりアーンミーヤ発音にならないよう矯正が必要になります。
ネイティブの人がこれをフスハー発音に矯正して ظ と ض のつづりを完璧に正しく使い分けるのはかなり難しいことで知られています。なのでアラブ人の方からアラビア語を習う場合はこれを間違わずに教えられる方を選ぶのが良いかもしれません。(後から直すのが大変なので…)
ちなみにイラクやアラビア半島などでは ض から置き換わる ظ 発音はフスハーと同じで舌を歯の間にはさむ調音になります。
動画で発音の方法を確認
アラブ人向けにクルアーン朗誦に必要となるフスハー的発音を教えるレッスン動画です。舌の先を置く場所が同じ ظ [ ẓ ] と ذ [ dh ] と ث [ th ] をまとめて解説。
ظ [ ẓ ] は舌の先を上と下の前歯の間にはさみます。歯ではさみこんだ舌の近く、歯茎の付近から息が漏れ出ることによって発声が行われます。舌の先端は前歯からはみ出し過ぎないように注意。強勢音なので、舌の根元付近が盛り上がって、لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が少し後ろに動くことで息の通り道が狭まり、重々しい音に変わります。
2:08からは舌の位置は同じながら軽い音バージョンの ذ [ dh ] と ث [ th ] の発音方法について。3:02ごろに出てくる比較イラストは、右側が ظ [ ẓ ] で、左側が ذ [ dh ] と ث [ th ] になります。違いは舌の根元が上に盛り上がっているか・いないかです。
同様の内容のレクチャーです。冒頭は色々な場所の名前の説明です。
ظ [ ẓ ] の発音は1:29ごろから説明が始まります。舌の先端を上下の前歯ではさみます。×がついているのは誤った発音で、舌を前歯の手前である口の中に残すことや舌を飛び出させすぎるのは間違いとなります。
2:22から ذ [ dh ] と ث [ th ] の説明。3:18からの比較イラストは右側が ظ [ ẓ ] で、左側が ذ [ dh ] と ث [ th ] になります。黄色い四角で囲ってあるのは、لِسَانُ الْمِزْمار [ lisānu-l-mizmār ] [ リサーヌ・ル=ミズマール ](喉頭蓋)が少し後ろに動くか・動かないかの違いを示しています。
同様の内容のレクチャーです。
こちらは発音練習コースの画面とともにイラストを出している動画です。最初に発音サンプルがひたすら繰り返されます。後半はクルアーン朗誦における実例になります。