アラビア語エジプト方言(アーンミーヤ)学習書ガイド

エジプト方言(アーンミーヤ)の学習用に販売されている書籍のレビューです。方言教材は日本語サイトやam◯zonで感想が書かれていること自体少なく、評価が高いものであっても古すぎて既に廃れた指示代名詞が使われていて実用性が低くなってしまっているあるのでコンテンツとして作成しました。

題名部分をクリックするとそれぞれの本の詳しい紹介や感想のページが開きます。

文法解説つき会話本

  • ニューエクスプレスプラス エジプトアラビア語 (長渡 陽一)』 おすすめ
    下の『ニューエクスプレス エジプトアラビア語』におさらいコンテンツを追加。新規にaudiobook.jp音声再生アプリ利用のためのパスコードが印字されている改訂版。メインスキット20課やCD教材は全く同じなので、既習者であれば新たに買い直す必要は無いかと。これからプラス版に入れ替わっていくので、新規に購入する場合はこちらがおすすめ。
  • ニューエクスプレス エジプトアラビア語』(長渡 陽一) おすすめ
    アラビア語の各種方言研究をされている長渡 陽一先生の著作。アラビア文字表記でカタカナの読みガナが添えられている。文法項目は初歩の簡単な物のみ扱われているが、初めての一冊としてはちょうど良い感じ。CD吹き込みはNHKアラビア語講座出演者のお二人。ナレーション慣れしていることもありゆっくりはっきりでとても聴き取りやすい。
  • (CD)エクスプレス エジプト・アラビア語』(白水社) おすすめ
    ニューエクスプレスよりも文法書的色彩が強いので、語学として細かいルールをきっちり覚えたい人におすすめ。名詞・形容詞の数や性から動詞派生形まで、フスハー文法の初級学習書と同じぐらいの文法事項がカバーされている。巻末に会話スキットのアラビア語文が掲載されているが基本的に会話スキット・文法解説・ドリルの全てがローマ字表記なので、エジプト方言が全く初めての人やアラビア語表記でないと頭に入ってこない、と言う方には不適。CD吹き込みは2通りのスピード。普通スピードはかなりの早口。
  • トラベル アラビア語会話手帳』(高野 晶弘) おすすめ
    冒頭に40ページほどのアルファベット・文法学習コーナーがある。旅行会話本だが、挨拶・人に声を掛ける時・感謝・謝罪の表現が色々載っているので日常会話のちょっとしたつなぎ文句を覚えたい時にも便利。エジプトに何度も渡航・生活され現代小説の翻訳などもされていた高野先生らしいエジプト国民性観察コラムも参考になる。コラムやエジプト・アラブ解説部分がやや長いのでそのぶん会話部分のボリュームは少なめ。
  • 実用アラビア語会話』(田中 四郎)
    1963年刊。カイロ方言会話学習本。日本語もアラビア語も古めかしいが、文法解説や脚注がとてもしっかりしており、アーンミーヤを文法的に学びたい人にはまだまだ使える本かと。「この肉固いけどまさか皮でも焼いたんじゃないのかね?」等、嫌味っぽい発言もありリアリティは抜群。ただ主人公は社会人で家に使用人も置いているので、一人暮らしをして自力で現地生活をしたい大学留学生の生活とはシチュエーションにかなりズレがある。
  • まずはこれだけ エジプト・アラビア語』(石原 忠佳)
    2009年刊。アルファベット解説の後すぐに長めの単語集が来る構成。基本文法編、実用編と続くが、実用編でも単語集部分の比重が大きいので方言の文法ルールをもっと詳しく知りたい人には向いていない。実用編の会話表現は対話スキット形式ではない(相手側のセリフはほぼ無くこちら側のセリフだけを並べてあるだけ)なので、会話集としても△だと感じる方は少なくないかと。誤記が多め、また実際には短く読む箇所もアラビア語表記そのままに長母音としてローマ字表記されているなど、正確性に欠ける面も。
  • 3日でおぼえるアラビア語』(小池 百合子)
    1983年刊。学生社の『3日でおぼえる○○語』シリーズのアラビア語版。アラビア語講師時代にアラビア文字と文法学習で脱落者が続出した経験があったこと、また出版社から『3日でおぼえるアラビア語』という題名で執筆を依頼されたことから、文字を覚えなくても会話を学べるようにという配慮の元で書かれている。英字表記や読みガナ・文法説明に不正確な部分が散見されるため語学教科書としての使用には不向き。

旅行者向け表現・単語集

  • 旅の指さし会話帳39 エジプト』(伊藤由起)
    情報センター出版局出版。エジプトに語学留学経験のある著者の方がエジプト人のご主人による監修の元執筆された旅行者向け表現・単語集。前半部分はイスラストレーターによるオール手描き。かわいらしい絵柄だが手書き文字で読みづらい。アーンミーヤのアラビア語表記が不正確な箇所がいくつかあったりかなりの割合でフスハーが混在していたりと、エジプト方言の学習書として使うにはおすすめしづらい。
  • 絵を見て話せるタビトモ会話 エジプト』(JTBパブリッシング) おすすめ
    ネット上のクレジット表記には出ていないが、中町 信孝先生、榮谷 温子先生が翻訳・執筆されている本。表記のブレが少なく、旅行者向け表現集としてかなりちゃんとした作りになっている。学習初期の単語帳代わりにおすすめ。
  • ひとり歩きの会話集19 アラビア語』(JTBパブリッシング)
    湾岸方言、モロッコ方言も一部コーナーのみだがエジプト方言は全編にわたり収録。ぱっと見での判読が難しいほどに凝っているカタカナルビが実際の音に忠実でなく不正確な点が最大のネック。動詞など人称が合っていない部分があったり、一部表現も直訳っぽい不自然な感じがありアーンミーヤ学習書としてはおすすめできず・・・
  • ミニ通訳 海外旅行会話 アラビア語』(語研)
    小池百合子先生が執筆に参加されたもう1冊のアラビア語エジプト方言旅行会話本。『3日でおぼえるアラビア語』から抜粋した感じの買物や飲食をメインとした薄めな本。ローマ字表記だがسとص等の区別が無く、lとrの取り違えもあるため語学学習には不適。

エジプト紹介本

  • アラアラかんたんアラビアン-エジプト・ことばと文化』(本の泉社)
    渋谷にあったカフェレストラン『アラビア』シェフらが執筆に参加したアラビア語入門+エジプト・アラブ・イスラーム紹介本。エジプト料理レシピやベリーダンサーインタビュー等があり面白いが、アラビア語講座部分は英字表記が不正確で誤字も多く方言学習用途には適さない。