1日1課のアラビア語: 教室から実社会へ (水谷 周/国書刊行会)

1日1課のアラビア語: 教室から実社会へ

★★☆☆☆
アラビストの方のエッセイ集に近かったです
学習法アドバイスは数十年前の実体験ベースなので
今どきのネット世代には合わない部分もあるかと

著者:水谷 周
出版社:国書刊行会

著者の方について

1948年京都府生まれ。京都大学卒業後外務省入省。外務省による東京地検告発と米国デンヴァー総領事懲戒免職後はアラブ・イスラーム学院等でお仕事をされている(/いた)ようです。アラブ世界、イスラーム、アラビア語関連の著作を複数出版。

本の概要

●上級を目指すために中級者が1日1課ずつ読解練習に励むためのドリルだと思って買ったのですが、序盤はアラブ世界とどう付き合うべきか/アラビア語をどうとらえるべきかというエッセイ風の記事、中盤は紙媒体の辞書の活用方法、終盤はアラビア語力増強のために自作された単語・熟語・慣用表現リストの紹介でした。

●途中にメモを書くための白いページも結構挟まれているので実質的な内容は本の概要で示されているよりも少なめです。

表記

アラビア語の部分にはほとんど母音記号はふられていません。

感想

アラビア語学習がいかに難しく大変なのか、Hans Wehrの辞書をいかに使いこなすかという話が長めだったり、話題の中心が筆者の方の世代が体験した紙媒体の教材しか無かった頃のアラビア語学習環境だったりするので、SNSを駆使する今時のデジタル時代の学習者にそぐわない部分が少なくないように思いました。

紹介されている辞書類も旧世代のものが多いので、ご自分にとって必要かどうか実物を読んでから購入を決められるのが良いかもしれません。

題名からは現代文購読講座が30課入っている本だと勘違いしがちなのですが、そのような内容は同じ水谷周氏が書かれた翻訳講座シリーズの方なのでそちらを購入されることをおすすめします。

アラビア語会話も達者な方で学び取るべき部分が多いはずなのですが、デンヴァー公金流用事件のインパクトが強すぎ素直に読むことが難しかったので★を少なめにつけてしまいました。読む人によってはもっと良い本だと感じられるかもしれませんので、実際に手にとって確認していただければと思います…

 

1日1課のアラビア語: 教室から実社会へ 1日1課のアラビア語: 教室から実社会へ
著者:水谷 周
出版社:国書刊行会