(新版)アラビア語入門 (佐々木 淑子/翔文社)

(新版)アラビア語入門

★★★☆☆~★★★★☆
大学の第二外国語講義向け教科書として作られた本
少ないページ数に一通りの初級文法を凝縮
読みやすいレイアウトではないので独習者には使いづらい可能性高し

著者:佐々木 淑子
出版社:翔文社

著者の先生について

著者略歴によると、早稲田大学大学院修士課程終了後バグダード大学に留学されアラビア語とイスラーム史を学ばれたとのこと。専攻は初期イスラーム史ですが帰国後はアラビア語教育の分野で活躍され、早稲田大学語学教育研究所(語研。現在は廃止。)では講師を務められていたようです。

本の概要

●大学での第二外国語教科書として作成された本だとのこと。週1~2回で1年続く講義が前提で、内容もアラビア語専攻学生向けの物に比べるとだいぶシンプルで出てくる項目も必要最低限に抑えてあります。

●青土社の時は青い表紙、翔文社になってからは緑色の表紙です。翔文社版では誤植の訂正だけでなく願望文に関する記述が追加されているといった違いがあるとのこと。

●本は文法編・会話編・資料編(ワードリスト、動詞活用表)から構成されており、文法説明自体は約60ページとなっています。各課の終わりに練習問題がついていますが解答はついていません。会話編は簡単なやり取りを10場面。

●字が小さいのでページ数の割には情報量が多いと思います。詳しい説明はありませんがオーソドックスな文法解説が簡潔にまとめられていることもあり大学での教科書としてはかなり使いやすく、採用している大学も少なくないようです。

●文法用語は一般的な物を使ってありますが、母音記号がファタハ(=ファトハ)、キャスラ(=カスラ)、ワムザトルワスリ(=ハムザトルワスル)と、他の文法書とは違ったカタカナ表記になっているなど多少のオリジナリティが見られます。

●別売りCDあり。欲しい場合は翔文社のウェブサイトで注文可能。セキュリティーエラーにより2022年2月時点での状況は確認できませんでしたが、過去のキャッシュによると1枚772円。

表記について

●先生がワープロソフトで入力した原稿に手書きでワスラ記号等を書き足した物をそのまま出版社に持ち込んで出版されたらしく、講義用レジュメを製本した感じの作りになっています。

●本のサイズはB5で日本語・アラビア語ともに文字は小さいです。例えるならばワープロソフトのWORDでA4用紙サイズ縦方向に設定した用紙に10.5~11ptぐらいでびっしり入力した自家製文書に近いかもしれません。

●下線を引いた箇所でアルファベットの点が隠れてしまって字がよく読めない部分がありました。

感想

昔購入した当時はびっしり並ぶワープロ打ちされた字を敬遠したのと、簡潔にまとまり過ぎて情報量が少ないように感じたのとで読まずに本棚に入れたままになっていました。

しかし今回改めて読んでみると、説明に大きな間違いがある訳でもなく要所を簡潔に一通り載せてある学習書だったことを知った次第です。独学の方には使いづらい気もしますが、大学でのアラビア語授業テキストにするにはちょうど良いのかもしれません。

独学のために購入される場合は、何冊か勉強した後に読むという使い方をすることをおすすめします。既に基礎が固まった段階であればレイアウトの見づらさなどを特に気にせず、学習してきた文法をざっとおさらいする感じで数日あれば読み終えられると思います。

(2023年1月感想部分加筆)

新版

(新版)アラビア語入門 新版 アラビア語入門
著者:佐々木 淑子
出版社:翔文社

旧版

アラビア語入門 アラビア語入門
著者:佐々木 淑子
出版社:青土社