アラビア語文法 コーランを読むために (田中 博一/鳥影社)

アラビア語文法 コーランを読むために

★☆☆☆☆~★★☆☆☆
岐阜のモスクでのアラビア語講座テキストを元に製本化
誤字脱字、発音解説・文法説明の誤り、クルアーン章-節番号の間違い、
クルアーン引用部分の書き換わり・脱字など気になる点が多い

著者:田中 博一
出版社:鳥影社

著者の方ついて

1950年福岡県三井郡(現久留米市)生まれ。九州大学農学部卒。日本アラブ未来協会主宰。

主な著書は『さあアラビア語を学びましょう』(愛知イスラム文化センター)、『改訂版 日本語アラビア語基本辞典』(鳥影社)、『現代日本語アラビア語辞典』(鳥影社)、『現代アラビア語辞典 アラビア語―日本語』(鳥影社)。

試し読みページ

https://www.choeisha.com/pub/books/59477.html

鳥影社の商品紹介ページで目次、冒頭、活用表部分の試し読みができます。

本の概要

●クルアーンを読みたい方のための文法書という珍しい企画だったので購入しました。

●2022年2月下旬に発売。岐阜のモスクで開講していた正則アラビア語講座のテキストを元に制作。序文によると、2年間フスハー文法についてレクチャーを行い現在は参加者各自が辞書などを使って読解に取り組まれている模様です。

●B5判で全266ページ。p.74までが文法説明と辞書の使い方、p.77~p.87がクルアーンの章からの抜粋+語彙集、それ以降はほぼ全部動詞活用表になっています。カバー範囲は動詞の活用と不規則動詞までで、初級文法の前半を取り扱って最後に派生形を簡単に紹介しているタイプの初学者向けの文法書とだいたい同じ内容です。動詞の派生形や能動分詞・受動分詞は出てきますが各形ごとの具体的な解説が無い点が構成的に似ています。

●文法事項をゼロから網羅した入門書とは違い、クルアーンを読むことを目的とした例文を多めに入れつつおさらいをするといった作りになっています。「観光旅行や土産屋での買い物といった例文は要らない」というアラビア語学習者の方のニーズに見合ってはいるのですが、独学の方が1冊目に選ぶタイプの本ではなく復習しながらクルアーンからの抜粋に触れていく流れなので実質的には既習者対象だと思います。

●クルアーン読解に必要な事項も掲載、とのことですが大部分は通常の文法書と同じでクルアーン諸学の基礎を盛り込んだ本にはなっていません。アラビア語での文法用語やクルアーンでのアリフ・マクスーラに関する表記といったコメントが添えられていますが、クルアーン特有の長母音表記やハムザ表記に関する項目は別途設けられていないなど情報量的にはかなり少ないです。

●語根については日本国内で広く採用されている第1語根、第2語根、第3語根ではなく「語根の第1語基」といった具合に「語基」という語が使われています。

表記・誤字脱字について

表記

●英字による転写は冒頭の発音・語形説明のところのみついています。カタカナによる読みガナも基本的についていません。

●アラビア語フォントは日本語部分とほぼ同じサイズなので初級文法書としては小さめかもしれません。

●アラビア語部分にはだいたい発音記号がふってあります。語末にはふっていないことが多いです。

●母音挿入に関して وعليكمُ السلام となることを「م の音価が変化する」という表現で説明しています。

●フスハー文法書とうたってはいますが、冒頭の発音説明は口語色が混ざっており母音の a・i・u に e・o も加えられています。そのため ـَ は a、ـِ は i と e、ـُ を u と o、タンウィーンありだとアン、イン/エン、ウン/オンと発音するように指導されています。フスハーにおいても接している子音の種類によって短母音や長母音の音に幅が生じるのは確かですが、どちらかというと人名などのカタカナ表記も含めアーンミーヤ発音が混ざっている類のものに感じられました。なおどういう時に i を e / u を o と読むのかという説明はありません。ここはオーソドックスに母音は3つだけとした方がわかりやすかったのでは、という気がします。

  • كُتِبَ koteba(コテバ ▶ 他書では kutiba/クティバ)
  • كُتَّاب kottaab(コッターブ ▶ kuttāb/クッターブ)
  • مُدَرِّس modarres(モダッレス ▶ mudarris/ムダッリス)
  • عُمْر ‘omr(オムル ▶ ‘umr/ウムル)
  • ヨルダン اَلْأُرْدُنُّ al’ordun’nu(アルオルドゥンヌ ▶ ’al-‘urdunn(u)/アル=ウルドゥン(ヌ))
  • キリスト教 اَلْمَسِيحِيَّة almasiiheiyatu(アルマスィーヘイヤトゥ ▶ ’al-masīḥiyya(tu)もしくは’al-masīḥīya(tu)/アル=マスィーヒーヤ(トゥ))

●解説文中に出てくる固有名詞なども一般的なフスハー発音ではなくアーンミーヤ発音風の転写やカタカナ表記になっていることがしばしばあります。現代標準アラビア語の教本ではこうした表記はフスハーの母音記号通りに日本語化してあるのが普通ですが、本書ではアーンミーヤ発音に近いものがかなり混ざっています。

  • 人名 حَامِد ハーメド ▶ 通常ハーミド
  • 人名 نَاصِر ナーセル ▶ ナースィル
  • 人名 يُوسِف ユーセフ ▶ ユースィフ(クルアーンでは通常ユースフで載っているので、本の中にユースィフとユースフ2通りの母音記号パターンが混在。)
  • 人名 خَالِد ハーレド ▶ ハーリド
  • 女性モスレム ▶ 通常、特にイスラーム関連施設の文書であればムスリマ
  • 男性モスレム ▶ ムスリム
  • 通貨名 دِرْهَم デルハム ▶ ディルハム

●人称代名詞や動詞の活用表は欧米式・日本式の一般アラビア語文法書とは違う並び順、かつ人称別ではなく単数・双数・複数という数の別に組み直されています。他のアラビア語学習書の標準的な活用表を見慣れている方には見づらいかもしれません。既習者相手だとデメリットになってしまいますが、アラビア語が全く初めてでアラビア語の3人称が基準になっている表が苦手に感じられる方には逆にメリットに感じられる可能性があります。

  • 単数
    ・1人称男女
    ・2人称男性
    ・2人称女性
    ・3人称男性
    ・3人称女性
  • 双数
    ・1人称
    ・2人称男女
    ・3人称男性
    ・3人称女性
  • 複数
    ・1人称男女
    ・2人称男性
    ・2人称女性
    ・3人称男性
    ・3人称女性

ちなみにアラブ式のアラビア語文法書(サルフと呼ばれる動詞活用分野の本)では1人称→2人称→3人称の順になっていたり、日本と同じような3人称→2人称→1人称と並んでいる教材もあったりでまちまちです。

●語中ハムザの表記がウスマーン版ベースのクルアーンと現代標準アラビア語とでは異なる件についての明記が無いまま活用表中で جَاؤُواجَاءُوا にしているなど、古典フスハーと現代フスハーの情報の切り分けがはっきりされていない印象です。

誤字・脱字

●本編のページ数が少ない割には誤字脱字がかなりあります。クルアーンと原語アラビア語の神髄に触れるために必要な情報を盛り込んである、とのことですが文法書としての精度・信頼性に直接関わる基礎文法関連の誤りが多いです。おそらく日本語で出たアラビア語文法書の中でも説明間違い割合が高い部類に入ると思います。

  • 調音部位に関する説明の誤り
  • 文法説明の誤り、文法用語の定義を間違って覚えられたまま説明文が書かれている箇所がある
  • 動詞活用や格変化部分の母音間違い(母音の覚え違い、口語活用との混同、派生形間違い等)
  • 指示代名詞の双数形はクルアーンに出てこないとして表の欄が斜線で潰してあるが実際には登場している
  • クルアーン引用部分の章-節番号が違っている
  • クルアーン章-節番号が書かれている引用部分であるにもかかわらず文が書き換わっている(違う語形や人称に変更されている、語順が違っている、脱字がある、人称代名詞接続形が抜けている)
  • クルアーン抜粋を読む学習コーナーでは横の語彙集に誤字脱字や語形取り違えが多く、意味が文脈に合っていない箇所が複数見られる

●各子音の発音方法解説に誤り(フスハーでもアーンミーヤでもない発音含む)や不正確な記述が複数見られます。普通の語学としてのアラビア語発音もですがタジュウィードを習得されていない可能性が大きく、クルアーン朗誦でやってはいけないNG調音方法が色々と書かれているのでムスリム/ムスリマの方はこの部分は読み飛ばされることをおすすめします。書いてある通りに発音すると後からいくつもの子音の発音を矯正することになってしまいます。

●巻末の参考文献リストに載っているのは日本ムスリム協会日亜対訳注解聖クルアーン、子供向けアラビア語教本や学習者辞書、日本で発売された初級文法書やアラビア語文法ハンドブック等です。日本ムスリム協会刊以外の各種日本語対訳やアラビア語で書かれたクルアーンの注釈書ならびに大人向け文法書の記載がありません。誤字脱字や文法間違いの内容からすると高度な専門書に依拠せず執筆された可能性が考えられ、参考文献からのピックアップではなく作者の方の記憶や判断を元に書かれた部分に誤字脱字・誤解説が集中しているように見受けられました。

感想

初級アラビア語文法を学んだ方が日亜対訳と辞書を頼りに自力で意味を調べていく自習サークルの資料を外部公開するという形式、アラビア語勉強中の方による自費出版という紹介ならまだ良かったと思うのですが、クルアーンというアラビア語の神髄に触れるための文法書、画期的文法書と銘打って発売された以上、出来る限りの誤り・不正確さを排して出版されることが望ましかったのでは…という気がしました。

題名から興味を持たれた方も少なくないと思うのですが、肝心のクルアーンの文言を例文として掲載するために書き換えてあったりするため、自分としてはおすすめはできないです。

英語やアラビア語の書籍を自力で読める状態になっている方は、過去に出た様々な日亜対訳や池田修先生の『アラビア語入門』・ごとう書房の『アラビア語文典』あたりを揃えて英語なりアラビア語なりの注釈書で勉強されるのが無難かもしれません。

ひどい辛口コメントになってしまって申し訳ないのですが、タフスィールに依拠していないクルアーン解説、クルアーンの引用文を書き換えるといった部分も含め個人的に色々な点が無理だった…というのが正直な感想です😢

 

*****

読書メモ

通し読みの時に訂正やメモを入れた場所の記録です。iPad内の電子メモが消えた時のバックアップ代わりに置いてあるものです。

なお細かい場所は省いてあるので全部を網羅した正誤表にはなっていません。また後半の活用表はスキップしました。

  • 目-4:سورة هو フードの章 ▶ سورة هود(ドの部分が脱字で預言者フードの名前が切れておりアラビア語部分が「フー」になっている。)
  • Ⅰ-1:ج ジャー ▶ ジーム(アルファベット名がジャーになっている。)
  • Ⅰ-1:خ カハーっ 痰を切る要領で喉の奥からカハー ▶ 軟口蓋~口蓋垂(喉の奥ではなく口の中の喉の入り口手前。)
  • Ⅰ-1:ر 舌をしっかり巻いて(ウ)ラー ▶ 舌は巻き舌にせず先を歯茎に当ててパチンとはじく(単体では日本語のラに似た1回はじく音、シャッダがつくと巻き舌系のふるえ音。しかしそれは現代標準アラビア語的発音で、クルアーン朗誦ではそうしたスペイン語のようなふるえ音もNGなのでムスリム向け学習会の内容としては巻き舌指導は不適切かと。)
  • Ⅰ-1:ز ザーっ ▶ ザーイ(ザー(ゥ/ッ)やザインという名称があるもののマイナーで通常の文法書ではザーイ。)
  • Ⅰ-2:ظ 舌先で上の前歯の前を舐めてザー ▶ 舌先を歯で噛んでザー(舌を前歯裏付近に置くのはアーンミーヤ発音のためクルアーン朗誦ではNG。フスハー発音は ذ [ dh ] の重たいバージョン。)
  • Ⅰ-2:ع 声帯付近からアーッ ▶ 咽頭から(喉の最奥である声帯エリアを使うのは هءع はもう少し喉の上の方・口寄り。)
  • Ⅰ-2:ق 喉の奥からカー ▶ 口蓋垂付近から(喉の奥からしぼり出すわけではない。アラビア語のタジュウィード教本にも喉音とは書いていない。)
  • Ⅰ-2:ك 口の前方でかー ▶ 軟口蓋付近から(口の前方ではなく真ん中からやや後ろよりの天井部分がふにゃっと柔らかくなっているエリアを使う。)
  • Ⅰ-2:ل 舌先を上の前歯の後ろに付けるラー ▶ 上前歯裏に近い歯茎(前歯の後ろだと裏もしくは前歯裏生え際と受け取れるため。)
  • Ⅰ-2:ه 口の前方でハー ▶ 声帯から(アラビア語の ه は声帯を少し閉じ気味にし声門を狭くして出す喉の最奥を使って発音。ء と並んでアラビア語の子音の中でも最も喉の奥から出す。口の前方で出す hi や hu は日本語発音になってしまうのでNG。)
  • Ⅰ-3:ة は「閉じられたター」の意味 ▶ 結ばれたター、縛られたター(動詞 ربط は閉じるのではなく紐や糸を縛る・結ぶの意味。ت「開かれたター」「広げられたター」と閉じられた↔開かれたの対義語になっているのではなく、結ばれた、縛られた↔開かれた、広げられたという対。)
  • Ⅰ-3:音価は ت と同じ ▶ 音価は ته をあわせ持つ(ワクフ時の発音に言及が無い。)
  • Ⅰ-3:ハムザ(ء)はアラビア語独特の音で ▶(アラビア語以外にもある。声門閉鎖音/声門破裂音自体は他の言語にもありアラビア語独特・唯一ではない。)
  • Ⅰ-3:إِ أُ أَ と書かれると、’a(アッ)、’u(ウッ)または ’o(オッ)、’i(イッ)または ’e(エッ)と発音する ▶(声門閉鎖・破裂が「ッ」部分に該当するので敢えて書くとすれば「ッア」「ッイ」「ッウ」。أَ は母音 a の後に声門閉鎖するのではなく、声門破裂させてから母音 a という順番。)
  • Ⅰ-3:مُؤُمِن mu’umin 信者 ▶ مُؤْمِن mu’min(不要な母音の追加)
  • Ⅰ-3:بِئْر bi’ir 井戸 ▶ bi’r(不要な母音の追加)
  • Ⅰ-3:فَأْر fa’arネズミ ▶ fa’r(不要な母音の追加)
  • Ⅰ-3:タンウィーン 上記の3母音にnを付加したもの。不定の名詞、形容詞の語尾に表れて、日本語の「て、に、を、は」にあたる役割をする。▶ タンウィーンは非限定(不定)を表すために格を示す母音 a・i・u に「n」音を追加すること。(タンウィーンは n 音付加という意味の動詞派生形第2形の動名詞。-un・-in・-an 全部ではなく n の部分のみ。タンウィーンはて・に・を・は表示パーツではない。タンウィーンによって n 音が付加された -un・-in・-an の名称は「タンウィーン」ではなく اَلْحَرَكَاتُ الْمُنَوَّنَةُ [ ’al-ḥarakātu-l-munawwana(h)/munauwana(h) ] [ アル=ハラカートゥ・ル=ムナウワナ ] など。なおタンウィーンが添加された余剰の無母音n音を意味することも。)
  • Ⅰ-4:ただし أأ が連続する場合は آ と書かれアーと発音される ▶ أَ أْ もしくは أ の長母音化(أ  の単なる2連続ではない。سَأَّال のように أْ أَ のようなケースではマッダ記号はつかない。)
  • Ⅰ-5:زَاءٌ ▶ 通常は زَايٌ(アルファベット順で زَاءٌ の名称はマイナー。通所の学習書が採用していない名称。)
  • Ⅰ-6:ثَمَرٌ هِنْدِيٌّ thamarun-hindiiyun タマリンド ▶ تَمْرٌ هِنْدِيٌّ(サマルではなくタムル。)
  • Ⅰ-7:じ زي ▶ じ جي(ぎに جي を当ててあるせいか [ zi ] [ ズィ ] という発音に対応した زي が欄に入っている。しかし日本人名では通常 جي [ ji ] [ ジ ] とするよう教えられている部分で、本書の通りこの表記を使うと富士がフジではなくフズィになってしまう。)
  • Ⅰ-8:نيتسييوبي ニチヨウビ ▶ نيتشييوبي(ニーツィーヨウビー(ニツィヨウビ)と読めるアラビア語表記になっている。チ音は تش 表記。)
  • Ⅰ-9:不定名詞は語尾の発音がウン、イン、アンと変化し、その変化はタンウィーンと呼ばれ ▶(タンウィーンは n 音付加行為もしくは添加された余剰n音を意味。ウン、イン、アンは普通のウ・イ・アの格変化と同様格変化の部分でそこに非限定を示す n 音が余分にくっついている。)
  • Ⅰ-10:كَذَّبُوا فِرْعُونَ 彼らはファラオに嘘をついた ▶ كَذَّبُوا فِرْعَوْنَ 彼らはファラオを嘘つき呼ばわりした(ファラオをフィルアウンではなくフィルウーンとしている母音記号つけ間違いと、動詞の意味の誤訳。例文のアラビア語はファラオに嘘を伝えるのではなくファラオに対してお前は嘘つきだと非難する方の語形。)
  • Ⅰ-10:اَبَا 父親(対格)▶ أَبَا(ハムザ入力忘れ。)
  • Ⅰ-10:فَمٌفَمُو(主格)、فَمِي(属格)、فَمَا(対格)▶فُوفُو(主格)、فِي(属格)、فَا(対格)(فَمٌ [ fam ] の母音記号間違いで [ fum ] になっている。そもそもこの五つの名詞のうち「口」は فَم [ fam ] [ ファム ] ではなく فُو [ fū ] [ フー ] で、取り違えた上にそのままファムー、ファミー、ファマーと格変化させてしまっている。الأسماء الخمسة を十分把握されておらず、文法書で再度確認せずに書かれた箇所もしくは文法書の内容を何らかの理由で意図的に改変した可能性あり。ちなみに現地では小学校で学ぶ内容。)
  • Ⅰ-11:يُوسِفُ ユーセフ ▶ يُوسُفُ ユースフ(クルアーン朗誦ではユースフ発音流派が多く本書が依拠しているクルアーンサイトでもユースフ表記になっているが、本書では書き換わっており母音記号が u ではなく i になっている。)
  • Ⅰ-17:指示代名詞 遠称 *双数形はコーランには表れない ▶ 現れる(例:第28章32節 فذٰنِكَ بُرْهٰنَانِ (فَذَانِكَ بُرْهَانَانِ) その2つは明証である。なお本書の指示代名詞遠称の項は2種類を混ぜて掲載してある入門書タイプ。لِ の字を含まないものと含むものの区別に関する記述は無し。)
  • Ⅰ-20:سَمُّوهَا 彼女を~と呼びました ▶ سَمَّوْهَا(「彼らは彼女を~と呼んだ」の意味の動詞完了形+人称代名詞接続形部分をサンマウハーとするところがアーンミーヤ活用のサンムーハーになっている。)
  • Ⅰ-23:سَوْفَ يَعْلَمُ غَدًا 彼は明日知るであろう(Qr54-26)▶ سَيَعْلَمُونَ غَدًا かれらは明日(/近い日に)知るであろう(クルアーン章句番号が書かれた引用部分だが書き換えられ人称も彼らから彼になるなど違う文になっている。クルアーンを書き換えており別物の文章になっているので章句番号の削除が妥当かと。)
  • Ⅰ-23:لَا تَزْعِجْ مُحَمَّدًا، لَعَلَّ مُحَمَّدًا مَشْغُولًا ムハンマドの邪魔をしてはいけません、多分、ムハンマドは忙しいだろうから ▶ لَا تَزْعَجْ مُحَمَّدًا، لَعَلَّهُ مَشْغُولٌ(動詞未完了形第2語根の母音つけ違い、人名ムハンマドを何度も繰り返さないよう لَعَلَّ の後は人称代名詞接続形に置き換え、主格にする خبر لعلّ まで対格になってしまっているので مَشْغُولٌ に修正。両方対格にしていたのは一部アラブ部族によるマイナー用法。)
  • Ⅰ-24:كُلُّ شَيْءً 全て ▶ كُلُّ شَيْءٍ(属格にする部分に対格のファトハターンがついている。)
  • Ⅰ-25:لَكَ هَذِهِ السَّيَّارَةُ この車はあなたのです ▶ あなたはこの車を持っています(語順からすると微妙にニュアンスが違うかと。アラビア語は同じ意味と同じ語・格の組み合わせでも語順が前に来る部分を強調して伝えるため لَكَ が先頭に来る文だとあなたが何らかを「所有している」ことに主眼が置かれ「あなたは持っている→何を持っているかというとこの車だ→あなたはこの車を所有している」という発想に。)
  • Ⅰ-26:語尾の م の音価の変化に注意 ▶ 語尾の م につく母音 u に注意(子音 م [ m ] につく発音記号がスクーンから母音 u に変わるものの、子音の音価自体は m のままで変化は無いかと。)
  • Ⅰ-29:発音されな。▶ 発音されない。(脱字。)
  • Ⅰ-30:مِنْ عِنْدَ الْجَرَّارِ 陶磁器店で ▶ مِنْ عِنْدِ(この構文でよくある母音記号つけ違い。前置詞の後に来ているので属格となる。)
  • Ⅰ-31:Qr29-16 ▶ Qr29-61(クルアーンの節番号間違い。)
  • Ⅰ-31:Qr-2-225 ▶ Qr2-255(クルアーンの節番号間違い。)
  • Ⅰ-31:لَقَيْتُهُ 私が彼と会った ▶ لَقِيتُهُ(第3語根弱文字動詞の活用がらみと思われる母音記号つけ違い。)
  • Ⅰ-32:هَلْ رَاَيْتَ أَحَدًا 誰か見ませんでしたか ▶ رَأَيْتَ(ハムザ入力忘れ。)
  • Ⅰ-32:أَوْ الشَّايَ それともお茶ですか ▶ أَوِ(補助母音 i への変更忘れ。)
  • Ⅰ-33:اَلشَّمْسُ مَشْرِقَةٌ 日は昇った ▶ مُشْرِقَةٌ(母音記号つけ違い。مَـ だと場所名詞語形になってしまう。ここは動詞派生形第4形の能動分詞・女性形。)
  • Ⅰ-36:能動分子、受動分子 ▶ 能動分詞、受動分詞(誤字。)
  • Ⅰ-36:派生形第9形(Ⅸ)の受動分詞欄に مُفْعَلٌّ が書かれており、現在分詞欄が ✕ になっている ▶ 逆にする。(第9形で空欄になっているのは受動分詞の方。)
  • Ⅰ-37:第5形受動分詞として مُتَشَرَّدٌ 家出した ▶ 能動分詞 مُتَشَرِّدٌ(家出というよりは「浮浪している、うろついている、ホームレスの」という意味。しかも能動分詞なので欄を移動して母音記号もつけ替える。)
  • Ⅰ-37:第9形 能動分詞 ✕、受動分詞 مُرْبَدّ ▶ 能動分詞 مُرْبَدٌّ、受動分詞 ✕(能動分詞と受動分詞の中身を入れ替え。なお مُرْبَدٌّ 血の気の失せた とあるがオンライン辞書アラジンには蒼白とか陰ったというニュアンスで載っている。アラビア語辞典では怒りのあまり顔に血が赤くなるどころか黒みが入って灰色がかった様子であるとの説明あり。顔面蒼白というよりは憤怒のあまり顔がどす黒くなって本来の顔色を失った色合いを示すとのこと。血の気が失せるとか蒼白というよりは血がのぼりすぎて顔色が変わっているのでニュアンスが違う模様。)
  • Ⅰ-40:1人称 اَنَا 単数 ▶ أَنَا(ハムザ入力忘れ。以後同様のハムザ抜けがあるので都度メモは省略。)
  • Ⅰ-41:طَمْأَنَ 安心させる → تَطَمْأَنَ 低くなる ▶ 低い(「安心させる」の方ではなく「低い」という意味と連動している。)
  • Ⅰ-43:اَلْجُمَلُ الْفَعْلِيَّة 動詞文 ▶ اَلْجُمْلَةُ الْفِعْلِيَّة(通常「動詞文」という時は総称的に定冠詞+単数形を使うかと。手前にある「名詞文」も同様。なおニスバ形容詞部分の ف につく母音のつけ違いあり。)
  • Ⅰ-44:ノアの一族は予言者達を疑った ▶ 使徒たちを嘘つき呼ばわりした(/信じなかった)(イスラーム的文脈では予言者→預言者。ただここでは各対訳では使徒となっているのに予言者と著者の方の判断で書き換わっている。ラスールの複数形ルスルが使われているので「使徒」に変更。なお動詞のニュアンス的に「疑った」から原語の意味に近く日亜対訳にある通りの「嘘つき呼ばわりした」「信じなかった」に変更。)
  • Ⅰ-46:يَبَسَ 乾いている ▶ يَبِسَ(母音記号つけ違い。)
  • Ⅰ-49:كُتِلَتْ 殺され ▶ قُتِلَتْ(クルアーン引用部分での q と k の取り違え誤字。)
  • Ⅰ-50:يَكُونُ ~してしまっているだろう:動詞完了形 ▶(يُكُونُ 単体では推測など。يَكُونُ قَدْ などで「もう~してしまっているだろう」といった完了の意味合いに。)
  • Ⅰ-50:حَارًا 暑い ▶ حَارًّا(シャッダ記号抜け。)
  • Ⅰ-52:عَسَى أَنْ يَبْعَثْكَ Qr17-79 ▶ يَبْعَثَكَ(クルアーン引用部分での母音つけ違い。接続形で母音 a にする部分が要求法と同じスクーンになっている。)
  • Ⅰ-52:下さりなす ▶ 下さります(誤字。)
  • Ⅰ-54:1から10までの基数詞を受ける名詞は不定の複数形属格 ▶ 3から10(数詞の1と2は3~10とルールが違う。)
  • Ⅰ-54:أَرْبَعَة شُهَداءٍ 四人の証人 ▶ أَرْبَعَةُ شُهَدَاءَ(二段変化の語を三段変化扱いしてタンウィーンになっている。)
    *本では「4人」となっていますが書字方向制御の都合上ここでは「四人」と書いてあります。
  • Ⅰ-54:ثَلَاثَةُ طَالِبِينَ 三人の男子学生が ▶ ثَلَاثَةُ طُلَّابٍ(通常学生の複数形はターリビーナではなくトゥッラーブかと。男性規則複数だと「要求者、請求者」の意味での使用が一般的な印象。)
    *本では「3人」となっていますが書字方向制御の都合上ここでは「三人」と書いてあります。
  • Ⅰ-54:أَحَدَ عَشَرَ كَوْكَبًا رَأَيْتُ 私は11の星を見ました(Qr12-4)▶ رَأَيْتُ أَحَدَ عَشَرَ كَوْكَبًا(クルアーン引用部分の書き換わり。ユースフ少年の有名な言葉だが動詞の位置が後ろに回っており語順が変わっている。)
  • Ⅰ-55:18 ثَمَانِي عَشْرَةَ 女性名詞に ▶ ثَمَانِيَ عَشْرَةَ(母音記号抜け。一般的な18の語形としては1の位語末の対格化忘れ。)
  • Ⅰ-56:Qr7-14 ▶ Qr29-14(クルアーンの章番号間違い。)
  • Ⅰ-58:يَقَعُ مَكْتَبْنَا 私達の事務所は~あります ▶ مَكْتَبُنَا(発音記号つけ違い。主格 u になる部分がスクーンになっている。)
  • Ⅰ-59:مَرَّ عَلَى قَرْيَةٍ その村を通り過ぎた ▶ (とある)村を通り過ぎた(「村」は非限定名詞で、どこの村かは具体的に指していない。既知の特定の地点ではなく廃墟となった村(町)を例として描写しながら語っている部分。)
  • Ⅰ-69:جَاءُوا 来る・完了形 ▶ 現代フスハーの正書法では جَاؤُوا(古典的表記に従っているクルアーンと違う点ながら本書では特に触れられないまま活用表でも使われているので注意。)
  • Ⅰ-70:طَمْأَنَ 安心させる → Ⅱ形 تَطَأْمَنَ 低くなる ▶ 低くする(「安心させる」の方ではなく「低い」という意味と連動している。)
  • Ⅰ-73:فاعل 動詞 ▶ فعل(誤字。アラブ式文法学の三分類の1つは فِعْلٌفَاعِلٌ は能動分詞。能動分詞は اِسْمٌ に分類。)
  • Ⅰ-73:能動(現在)分子 ▶ 能動分詞
  • Ⅰ-77:الرَّحْمَنِ 慈悲深い者= الرَّحِيم ▶ ≠(これら2つの属性はアッラーの慈悲に関するそれぞれ異なる様態を示すが、本書では全く同じ意味と説明しイコール記号でつないである。具体的な違いは注釈書等にも記載されていて一般的な和訳はラフマーンが「慈悲あまねき」、ラヒームが「慈悲深き」。アラジン電子辞書などもこれに従っている。ラフマーンの意味をラヒームの意味と入れ替えて「慈悲深い」の方に置き換えた理由は単なる取り違えなのか意図的なものなのかは不明。)
  • Ⅰ-77:عَالَمِينَ 人間、人類 ▶ 諸世界、万有、全創造物(色々な解釈はあるものの人類に限定した語句でないことは確か。わざわざ人間のみとした理由は不明。)
  • Ⅰ-77:أَوْلَائِكَ = أَوْلَٰئِكَ あれらの ▶ أُولَائِكَ = أُولَٰئِكَ(語頭ハムザ部分の母音つけ違い。ウラーイカがア(ウ)ラーイカと読める記号になっている。)
  • Ⅰ-77:مُفْلِحُونَ 幸運な ▶ 成功者、幸福を成就する者(本書のクルアーン+語彙集コーナーでは能動分詞を行為者名詞としてではなく形容詞として訳してあるケースが多い。)
  • Ⅰ-78:الْقَيُّوم 永遠なる者 ▶ 自存されるお方、自足者、維持し給うお方、全てを司るお方(対訳や注釈書ではなくアラ-英辞書に載っている「the Eternal」という美称を直接日本語訳し「永遠なる」とした可能性も考えられる。)
  • Ⅰ-78:آيَات (コーランの)節 ▶(神の)諸々の徴、御徴、印(各対訳や注釈書より。クルアーンの諸節に限らず、その他の神徴も含めての意味で掲載が妥当かと。)
  • Ⅰ-78:اِنْتِقَام 仕返し ▶ 報復、応報(本書の語彙集は対訳ではなく辞書に載っている感じの普通の語になっていることが多い。)
  • Ⅰ-78:سَمَاء 空 ▶ 天(ただの地面-空という対ではなく、地と天という宗教的なペア。)
  • Ⅰ-78:خَوب 罪悪 ▶ حُوب 罪(1字目が違うアルファベットに置き換わっている誤字、またそこにつく母音が u ではなく a になっている。)
  • Ⅰ-78:一度に二つ…三つずつ…四つずつ ▶ 二人…三人…四人(妻の話をしている部分なので物の個数ではなく人間の数。二人なり三人なり娶れば良いという一夫多妻ルールの話。)
  • Ⅰ-79:أحلّ 免除する ▶ (許す、合法(ハラール)とするの受動態で)「許された」「合法とされた」
  • Ⅰ-79:حَلَلْتُمْ 許されている ▶ (イフラームを)解禁する、イフラームを解く、巡礼着を脱ぐ(対訳類を参照せず辞書から直接取ってきた訳の可能性あり。)
  • Ⅰ-80:حَرْج 悩み、苦悩 ▶ حَرَجٌ 気がかり、煩悶、意気そそう(2文字目の母音つけ違い。)
  • Ⅰ-80:ذِكْرَى 記憶 ▶ 訓戒、教訓(対訳ではなく辞書からクルアーン本文とは直接関係が無い一般的な語を取ってきた可能性あり。)
  • Ⅰ-81:مُعْجِزِي 逃亡 ▶ (アッラー(の計画)を)頓挫させ(られ)る、(アッラーの懲罰から)逃れる(能動分詞の複数形・属格かつイダーファ構文で نَ が脱落している部分に動名詞相当の意味が載っている。)
  • Ⅰ-81:مُخْزِي 屈辱の、恥ずべき ▶ 屈辱を与える、辱める(アッラーが行為者である能動分詞。形容詞的に訳した「恥ずべき」と直前の主語アッラーを組み合わせると日本語上「アッラーは恥ずべき者」となってしまい文脈・教義上合わない。アッラーが後に続く「不信仰者たち」(目的語相当部分)に恥辱を与える。)
  • Ⅰ-81:بَرِيءٌ 免れている ▶ 無関係の、無縁の、(盟約を)解除した(アッラーもその使徒も多神教徒らと無縁だというくだり。使徒部分の語末を属格にしてしまうと全然違うとんでもない意味になってしまうことから、アラビア語文法と母音記号整備が急がれたきっかけの一つとして語り草になっている。)
  • Ⅰ-81:حَكيم 賢い ▶ 英知に満ちた、英知ある、完全無欠の(啓典というアッラーの御徴の形容なので対訳に載っている「英知ある」を「賢い」に敢えて置き換える必要は無いかと。)
  • Ⅰ-81:تَذَكَّرُونَ 思い出す ▶ 訓戒を受ける、教訓を得る、留意する(対訳や注釈書による。なお派生形の第5形で同化を起こして تَتَذَكَّرُونَتَذَكَّرُونَ になっているとされる件の記載は無し。)
  • Ⅰ-82:مَرْجِع 戻ること ▶ 戻る場所、帰るところ、帰り所、帰り処(場所名詞が動名詞としての訳で載っている。「帰る」と動詞的にしている対訳があるための可能性も。)
  • Ⅰ-82:قِصَّة ؛ قِصَضٌ 物語 (複) ▶ قَصَص 物語(キッサの複数形キサスではなく、これで「物語」という意味の違う語カサス。イスラーム系説話の題名はこのつづりでカサスと発音することが多い。)
  • Ⅰ-83:وَتَعَالَ 至高なる ▶ وَتَعٰلَىٰ (وَتَعَالَى)(クルアーン本文から書き写す際の脱字。本書が依拠しているウェブサイト المعاني での表記も含めクルアーンの各本ではアリフ・マクスーラありになっている。)
  • Ⅰ-83:予言者の章 ▶ 預言者の章
  • Ⅰ-83:算 غَفْلَة ▶(タイプミスか何かで入り込んだと思われる「算」を削除。)
  • Ⅰ-83:مُعْرِض(約束に)背いた ▶ 背をそむける、背け去る(ここは約束を破って背く話ではなく、最後の審判と復活という清算の時が来るという警告・教えに真面目に向き合わず背け去っている様子を語っている。)
  • Ⅰ-83:لَاهِيَة 取り乱して ▶ 不注意な、無頓着な、ふざけて(アッラーによる審判と懲罰を恐れて取り乱しているシーンではなく、真面目に受け止めることもせず使徒・預言者のことを笑い者にしている心の様子に関する描写。)
  • Ⅰ-84:يَتَّخِذُ 取る ▶ = ~をーとする(英語の「take ~ ー」に似た目的語を2個とる用法。「アッラーの御徴を嘲笑の的とする」といった対訳がなされており、単なる「取る」ではない箇所。)
  • Ⅰ-84:أَعْرَضَ 嫌がる、背く ▶(「嫌がる」という意味は特に含んでいないので削除。アッラーによる吉報と警告から背き去って耳を傾けない、という文脈。)
  • Ⅰ-84:وَقْر 耳を貸さないこと ▶(メモ~対訳では「耳を傾けない」「聞こうとしない」となっていたりするが、元々の意味で直訳すると「耳が遠い;耳が聞こえない、聾者である」。)
  • Ⅰ-85:مَعْمُور しばしば出入りする ▶ (不断に)詣でられる、詣でられた
  • Ⅰ-85:مَسْجُور 逆巻く ▶ たぎり溢れる、溢れかえる(「逆巻く」は「川や潮の流れに逆らうように波が巻き上がる。激しく波立つ。」だが、クルアーン注釈書では مَمْلُوء となっており英語では filled のニュアンス。溢れるぐらいの水でいっぱいになっている海との描写だが、逆巻いて波立っている様子まで含んでいるかどうかは要確認。)
  • Ⅰ-85:وَاقِع 落下している ▶ 下される、起こる
  • Ⅰ-85:خَوْض 空論、無駄話 ▶ 虚しいこと、戯れ言、虚言、虚偽(「空論」だと「現実とかけ離れた、役に立たない議論・理屈」ということで文脈に合わない感あり。)
  • Ⅰ-85:سَحْر 魔法 ▶ سِحْر 魔術(1文字目の母音記号つけ違い。)
  • Ⅰ-85:اِصْلَوْا 「焼く」の男性・複数・命令形 ▶ 「焼ける、焼かれる」の男性・複数・命令形「焼けろ、焼かれろ、焼かれるがよい」(ここは語形違いで「焼く」ではなく صَلِيَ「焼ける」「焼かれる」の方。「焼く」の場合は صَلَييَصْلِيتَصْلُونَاِصْلُوا で「焼け」。)
  • Ⅰ-85:فَاكِهِينَ 楽しい ▶ 歓喜する、嬉々とする、楽しむ(形容詞的訳ではなく能動分詞的訳になする部分。)
  • Ⅰ-85:خحم > جَحِيم 地獄 ▶ جحم(語根表示で1字目が違う文字になっている誤字。)
  • Ⅰ-86:يُوحَى 未完了・受動態 (神が)啓示する ▶ 派生形第4形を示すⅣマークが無く、基本形(第1形)の受動態と受け取れる表示になっている。
  • Ⅰ-86:اِسْتَوَى 直立する、平らにする ▶(ここでは「真っ直ぐに立つ」の意味で、「平らにする」という他動詞的意味は関係無いので削除。)
  • Ⅰ-86:أَفْق 地平線、水平線 ▶ أُفُق(1字目と1字目の発音記号つけ違い)
  • Ⅰ-86:سِدْرَة ロトスの木 ▶ スィドラ(複数の対訳でスィドラとなっているが、ここでは敢えてロトス(*=ロートス)と訳されている。)
  • Ⅰ-86:مُنْتَهًى 究極 ▶ (誰も越せない)涯、最果て(文脈に合わせ変更。)
  • Ⅰ-86:طَغَا = طَغَى ゆらぐ ▶ 度を過ごす、(視線が)法を超える(طَغَا = طَغَى とイコールでつないであるものの、実際にはクルアーンで違うつづりにしてある場合は意味合いや描写対象の種類に差異があるといった解釈が一般的かと。)
  • Ⅰ-87:وَيَقُوج لُوا ▶(余計な ج が入り込むタイプミス。1文字削除して وَيَقُولُوا にする。)
  • Ⅰ-87:مُسْتَمِرّ 連続的な ▶ 相変わらずの;強力な;消え失せる、偽りの(各種対訳と注釈書による。)
  • Ⅰ-87:مُسْتَقِرّ 不動の ▶(結末が)定められた、確定した、決着する(各種対訳による。)
  • Ⅰ-87:مُزْدَجَر 抑止の ▶ 牽制、自制、戒め(形容詞的ではなく名詞的に訳されている部分。)
  • Ⅰ-87:دَاعٍ 招待者 ▶ 召集者、呼ぶ者(パーティーの類に招待する者ではなく最後の審判と復活の日の到来を知らせラッパを吹く召集者たる天使イスラーフィールのこと。)
  • Ⅰ-87:أَنْكَرُ の複数形 نُكُرٌ 恐ろしい、不快な ▶ 嫌われる;禍事の;想像を絶する(なお نُكُرٌ は複数形ではなくこれで動詞 نَكُرَفَاعِلصِفَة مُشَبَّهَة として働いているとのこと。)
  • Ⅰ-87:خَاشِع の複数形 خُشُعٌ 慎ましい ▶ خُشَّعٌ(視線・目が)伏せられた、怖気づいた目をした(複数形語形だが2字目の母音記号つけ違い。シャッダ+ファトハ。)
  • Ⅰ-87:「追い払われる」اِزْدُجِرَ(受動態)▶ اُزْدُجِرَ(完了形受動態の語形間違い。語頭ワムザトゥルワスルにつく母音は i ではなく u。)
  • Ⅰ-87:اِلْتَقَى 出会う ▶ 合流する、合わさる(天から降り注ぐ豪雨と地中から湧き上がる水とが合わさってあちこちが溢れかえるくだり。)
  • 参考文献:電子版「المعني」▶ المعاني(アル=マアーニーという電子辞書+クルアーン語句解説サイトの名称。長母音アリフ抜け。)
  • 参考文献:アラビア語入門 𣳾流社 ▶ 泰流社(社名1字違い。)
  • 参考文献:基礎アラビア語 大学書林 ▶ 基礎アラビヤ語(書名1字違い。)
  • 参考文献:MODERN WRITTEN ARABI ▶ ARABIC(書名最後のC1文字脱字。)

 

アラビア語文法 コーランを読むために アラビア語文法 コーランを読むために
著者:田中 博一
出版社:鳥影社