サウジ・日本合作アニメ映画『ジャーニー』について~(5)関係者インタビュー集

目次 | 概要 | キャラ一覧 | 声優 | 物語背景 | インタビュー | 反応と話題 | 先行配信視聴方法

CEOインタビュー

マンガプロダクションズの方針や『ジャーニー』公開の経緯・狙いなどが語られています。

静野監督+マンガプロダクションズCEO

映画『ジャーニー』に関連した報道やインタビューのビデオ(全てアラビア語)とその要旨です。

映画ジャーニー制作が始動した頃の静野孔文監督TVインタビューで、サウジ系ニュースチャンネルが放送。監督は放送局があるドバイに訪問し現地にて出演。どうやらドバイのコミコンに参加した時のことのようです。

日本語に堪能なマンガプロダクションズCEOのブカーリ・イサム氏が対談しながら通訳しています。

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当初から日本語・アラビア語を用意する計画で世界展開のため英語版追加も検討していたこと、アラブ向け描写になるようCEOの監修やサウジ人の協力があったことなどを語っています。またゲーム『THE KING OF FIGHTERS XIV』にアラブ人女性がデザインしたキャラクター「ナジュド」を投入したことにも言及。

終盤にアナウンサーから「巨額の予算なんですか?それともシンプルなコストで?」と予算について聞かれていますが、CEOは良質なアニメ映画を作るだけの妥当な予算をかけるつもりであること、地域におけるアニメ産業の確率が最終目標なので単に作品が成功するといったことだけを目指しているのではないことを明らかにしています。

静野監督は合作に対し前向きなコメント。

CEOインタビュー

2021年3月サウジアラビア系娯楽チャンネルRotana

2021年3月公開。サウジアラビア系の超大型メディア企業Rotana Media Groupが所有するテレビチャンネルが放送したCEOインタビューです。

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アラブのアニメ産業はまだ世界で勝負できるレベルに到たちしていない。しかし海外作品はアラブ地域になじまないコンテンツだったりするし、アラブ人が登場したとしても間違った描かれ方をされる。また、才能ある若者がいるのに活躍や才能開発の場を得られないという状況がある。

そんな中サウジやアラブそして未来に愛着・自信・誇りを持てるようなアニメを作るとともに善き次世代を育てていくことが目標。

サウジアラビアのアニメが日本で初めて放送されたのはマンガプロダクションズと東映アニメーションの『きこりと宝物』(キコリと宝物)という短編アニメ。『アサティール 未来の昔ばなし』は世界各国で放映され非常に多くの視聴数を記録し、中国語版や英語版が作られたほか、コンテストを実施してサウジ方言版の制作も。

上記の作品は子供向けで今度は若者向けの作品を作ることに。それがアラビア半島を舞台にした歴史ファンタジーである『ジャーニー』。主人公は陶工のアウス。

同スタジオ作品のメインターゲットはまずサウジ人。そしてアラブ→世界。サウジ人の子供たちがアラブやサウジアラビアの古いい偉人らに関心を持ってくれるようにするほか、日本などの子供が作品を通じてサウジ・アラブに愛着・理解を持つフレンドリーな世代に育つという効果も期待できる。

サウジアラビアからは若者らを日本に派遣。東映との契約交渉ではサウジ人の研修訓練の機会を設けることを第一条件に求めた。日本に渡ったのは300人。東映アニメーション、SNK、スクウェア・エニックス、KADOKAWA等に分かれ2018年~2019年の間に訓練を受け、帰国した後マンガプロダクションズは彼らを雇用。

またアメリカ合衆国のパートナーによるゲーム部門のオンライン訓練プログラムも実施。

『ジャーニー』ではシナリオ作り・キャラクターデザイン・背景といった各工程にマンガプロダクションズが参加。また静野孔文監督がワンピース新作映画のオファーを受けずにジャーニーの仕事に従事してくれたというエピソードも披露。その選択に納得してくれ、人生で一番面白い経験になったと言ってもらえたと安堵した様子。

映画を通じサウジ人は自国の若者らが作品作りに参加していること、自分たちを代表する同じ文化・価値観がバックグラウンドにあるヒーローが活躍する姿に誇りを感じるはず、とのこと。

ジャーニーを作る際、マンガプロダクションズはアラブ式のジェスチャーを日本の制作陣に伝えるためだけのために70近いビデオ資料を用意。ボディーランゲージすらアラブ風になるように努めたとか。

音楽や日本語版声優陣も世界的に有名な顔ぶれ。彼らは作品が成功するだろうと思わなければ仕事は受けてくれない。

マンガプロダクションズはサウジアラビア建国がテーマのアニメ・コミックの制作にも着手。

2021年3月サウジアラビア系ニュースチャンネル

公開時期が決まった『ジャーニー』の紹介をサウジ系ニュースチャンネルが放送。ブカーリ・イサムCEOがインタビューに応じています。

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4DX技術を導入したサウジアラビアの映画はこのジャーニーが初めて。今夏アラビア諸国と北アフリカ地域で公開。日本でも上映予定。

ジャーニーはサウジアラビアと東映アニメーションとの合作でサウジ側は制作の全工程に関与。

ミスク財団傘下マンガプロダクションズがこれまでに作ってきた『きこりと宝物』『アサティール 未来の昔ばなし』に続く合作で、それらが子供向けだったのに対して今回は若者がターゲット。

日本はアニメーション制作の経験を70年近い長い期間にわたって積んでいる国で、幸い東映アニメーションとの提携によりサウジ人が訓練する機会を作ることができた。『アサティール 未来の昔ばなし』第2シーズンは第1シーズンよりもサウジ人スタッフの割合が高くなっている。このようにして日本との合作を行うことで技術移転を進めていき、サウジにおける国産化に向けて努力している。

ストーリーはサウジアラビアで考案。監督らがサウジアラビアに訪れたりも。サウジチームが目指す水準が非常に高く日本で通常求められるレベルを超えていたとか。

公開されたトレーラー(トレイラー)は反響が大きく視聴数も多い。日本では夏に公開され、他の世界各国とも上映に関する交渉が進められている。

アラビア語版の主要キャラクターは人材育成も考え若手声優を起用。

2021年6月サウジアラビア系エジプト向けチャンネル

サウジアラビア資本の大型メディア局mbcのエジプト向けチャンネルの社会・時事トーク番組にCEOが電話出演。

これまでのインタビューとほぼ同じ話をしていますが、

  • マンガプロダクションズはアニメやコミックを制作する会社だが、何よりも重視しているのは次世代の育成。子供も若者も西欧・東洋のコンテンツを消費している状況。同社は彼らが自分たちの歴史や英雄を誇り模範とするようになることを目指している。
  • 以前麻生太郎氏がキャプテン・マージド(キャプテン翼)のことを自慢されたことがあったが、キャプテン翼やガンダム、グレンダイザーのようなヒーローを我々も作り新しい世代がそれを誇れるようにし未来につなげていくべき。
  • 我々は日本に対し石油やガスを輸出するだけにとどまらず、自分たちで作ったコンテンツを輸出する段階に入った。アラブのコンテンツを日本側が日本語吹き替えを作るようになった。
  • 日本との合作でサウジアラビアの若者らが作ったアニメ。東映との交渉では彼らのための技術研修の機会を設けることを第一の条件とした。
  • 音楽担当の和田薫氏はサウジアラビアを2回訪れ現代のサウジアラビア音楽、アラブ音楽に触れてもらった。
  • サウジ人スタッフらは1フレームごとの非常に細かいチェックを行い日本に修正指示を出したので、CEOに直接東映側から「日本ではここまではしない、助けて」と連絡が来た。
  • 日本の優れた制作陣・アラブの著名な声優らが参加したおかげで、サウジアラビアの若手は経験を積むことができた。
  • 主人公役の声優はサウジアラビア人、ズララ役の声優はエジプト人。

最後にコメンテーターはムハンマド王太子(皇太子)が短い期間で色々な改革を行ってきたことと、コンテンツの輸入ではなく輸出を成し遂げたことに触れています。

スタッフインタビュー

現場の作業やエピソードなど。

アニメーション部門責任者インタビュー

サウジアラビア系超大型メディア企業Rotana Media Groupが所有するテレビチャンネルの女性向け番組が放送。マンガプロダクションズのコミック・アニメーション部門責任者 سَارَة مُحَمَّد [ sara(h) muḥammad ] [ サーラ・ムハンマド ] 氏が出演しています。

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映画ジャーニーは歴史ファンタジー。サウジと日本に2拠点を置き作業。日本ではサウジ人らが制作に参加。映画館での公開後別媒体配信も計画。サウジやアラブの文化・衣服・武器・しぐさを正確に海外へ伝える目的も。

ムハンマド皇太子(王太子)の財団自体はサウジアラビアの若者たちの育成であり、傘下のマンガプロダクションズ社もただアニメを作るのではなく国内の若手を育成し自力で制作する能力を向上させていくことを目指している。

最終目標は100%サウジアラビア製にまで持っていけるようにすること。

アニメ系YouTubeチャンネルへのスタッフ・声優出演

アラブ人アニメファン向けのYouTubeチャンネルAi SHOWが『ジャーニー』制作秘話を関係者に取材。マンガプロダクションズはアニメファンが情報発信する際にもかなり協力的なようで、こちらの有名チャンネルにもスタッフらが出演しています。

日本人声優選定はアラブ世界での知名度・人気も関係

最初の女性はマンガプロダクションズのプロデューサーの1人 نُور الْجِيجَكْلِيّ [ nūr ’al-jījaklī ] [ ヌール・アル=ジージャクリー ] 氏。(*彼女はシリア出身でダマスカスで行われた日本語スピーチで受賞。アラビア語・英語・日本語ができるため通訳もこなしている模様。)

ヌール氏によるとジャーニーの日本人各声優配役は監督の意見にマンガプロダクションズ側スタッフの希望を反映させた結果だとか。アラブ人スタッフは皆アニメファンでどの日本人声優がアラブ人に好まれているのか把握しているので、日本語版でもベストの布陣を敷こうと考えてこうなったとか。

アラブ服を着て実演までした衣装デザイン

2番目の男性はデザイナーの مُحَمَّد الظَّفِيرِيّ [ muḥammad ’aẓ-ẓafīrī ] [ ムハンマド・アッ=ザフィーリー ] 氏。マンガプロダクションズの日本支社に籍を置いて東映との共同制作に参加していたらしく動画でも東京時間の深夜に自宅から出演。

ジャーニー制作は複雑で大変な作業だったものの、日本のアニメ制作現場に触れ多くの収穫があったとのこと。

アラブの伝統衣装や戦闘スタイルをジャーニーに反映させるため、ビデオを作成・3Dモデルを作る・スケッチを渡す・服を買ってきて自分たちが着て動いてみせる等してアニメーター側にビジュアル化した状態で伝達。スタジオに常駐して質問を受け服の布質等についても回答。

資料としてためこんだ大量の情報は宝物だとのこと。Ai SHOWチャンネル主も語っていますが海外アニメを見たアラブ人が「アラブ人キャラの衣装がひどい」「インドやペルシアのような服を着ている」と感じることは多い模様。マンガプロダクションズはGoogleで調べただけ的な資料は使用せずきちんと信頼できるソースで確認するよう努めているのだとか。

Ai SHOWチャンネルの常連でもあるムサブ役

3番目の青年は أَحْمَد الْيَزِيدِيّ [ ’aḥmad ’al-yazīdī ] [ アフマド/アハマド・アル=ヤズィーディー ](公式英字表記はAhmed al-Yazidi)氏。

アラブ系ニュース記事によると元々はフルタイムの銀行員でコスプレイヤー(AhmedDragunov)としても活動するサウジおたく界の有名人だとか。Ai SHOWチャンネルにも度々出演しイベントレポートなどもしてきたとのこと。

Ahmed(*アフマドの口語読みはアフメド)氏は趣味が高じて声優業もしており、サウジ人人材を何人か投入している『ジャーニー』ではムスアブ(日本語版カタカナ表記はムサブ)役を獲得。同氏はマンガプロダクションズ作品『アサティール 未来の昔ばなし』にも声優として出演し古代アラブの英雄アンタラ役を担当。

インタビュー中でムサブの台詞を言っているほか、フォロワーリクエストで日本語のセリフも披露。進撃の巨人に出てくる「心臓を捧げよ」「進め」と叫ぶシーンも。

自身もアニメファンのアウス役声優

最後に登場するのが主役アウス役声優のنَصَّار النَّصَّار [ naṣṣār ’an-naṣṣār ] [ ナッサール・アン=ナッサール ] 氏。

マンガプロダクションズの歴代作品に出演しており、新作映画『ジャーニー』では主役を獲得。喜びと同時にスター声優らに囲まれての主演に対しては責任感を抱いたといいます。

シリア人有名声優 رَأْفَتْ بَازُو [ ra’fat (bāzū→)bāzō ] [ ラアファト・バーゾー ] 氏にはSkypeリハーサル・稽古で演技指導を受けたようです。ジャーニーでは台本を読み込むだけでなく、作品と同じジャーヒリーヤ時代が舞台となっている連続大河ドラマにおける名優らの演技や発声方法を研究したりして収録に臨んだとのこと。

ナッサール氏は彼自身がアニメファンであり、自分が好きなONE PIECEキャラを担当した古谷徹氏らが日本語版に出演していることも責任感を抱く背景に。ただ比べられる不安に負けるのではなく全力を尽くしての自分なりの最良の演技を心がけ、建設的な批判があればそれを糧に成長し今後に活かしたいとの談。

なおAi SHOWチャンネル主とフォロワーの趣味でナッサール氏に対してはジャーニー劇中の主役アウスの台詞に加えて進撃の巨人の決め台詞を言うようにとリクエスト。前に登場したアフメド氏は日本語で「心臓を捧げよ」「進め」でしたが、ナッサール氏はそのアラビア語版を披露しています。

 

هذا التقرير عن فيلم الرحلة، أول فيلم أنمي سعودي – ياباني لشركة مانجا للإنتاج